地デジ移行計画では放送局側が泣きつくのを待つのが吉?
アメリカで今年2月に実地予定だった地上波デジタル放送の完全移行が、約4ヶ月延期されることになったのは記憶に新しいニュースです。アメリカでは既に1年以上前からアナログチューナーしかない世帯に地デジ変換用の機器を購入するためのクーポンを配ったりしていたのですが、結局このような状況に。
さて、我が日本。事態はもっと深刻です。
総務省は昨年9月の時点での地デジ受信機の世帯普及率50%を目指していたのですが、その目標に達することは出来ませんでした。今年1月末時点での世帯普及台数でも推計で約4889万台、世帯普及率も依然過半数割れ(普及率約49%)という現状です。
そもそも日本の地上波デジタル放送への移行とその方法には、B-CASや既存放送局と総務省による電波の独占と談合、そして天下りシステムの構築等々によって、日本の消費者は諸外国より遙かに高いコストを支払わされての地デジ移行を余儀なくされ、こうした点に多くの方が懐疑的・否定的な見方を、さらには反感まで抱く状況となっていました。
そして現在、このままだと、数年前から否定的・懐疑的な見方をしてきた識者の予測通りの結果になる可能性が強まってきました。
それによると、2011年7月における地デジ受信が可能なテレビの普及台数は駆け込み需要などを楽観的に見積もっても8000万台がいいところ。現在日本には約1億3000万台のテレビがあり、約5000万台のテレビが、極端な言い方をすればアナログ停波によってゴミに。これは日本の約2割の世帯にあたる1000万世帯で地デジ移行が出来ないことを意味します。さらには難視聴地域もあるときてます。
こんな状況じゃあアナログ停波強行なんて現実的に無理と考えるのが自然です。
しかし、マスコミ(放送局側)にしろ、電機業界にしろ、総務省(官僚)にしろ、分かってるはずなのに、それを言い出すことが出来ません。自分たちが進めてきた地デジ移行計画の失敗を認めることになりますし、ここで「延期します」なんて言ったら、金融危機に端を発した大不況による消費低迷が激しい昨今、さらにテレビが売れなくなってしまいますよね。
さて、一体どうなるのでしょう?
いくつかある面白い見方の一つに、放送局側(地デジ推進側)が泣きつく、というのがあります。
先述したとおり、2011年7月には相当数のテレビが受信不可能に陥いる可能性が非常に高いです。それはすなわち視聴者数が激減することに繋がります。
視聴者数が激減すると、当然ですが、放送局の広告料が減少します(これによって広告代理店も大打撃を被るでしょう)。NHKの場合では、デジタルテレビが無いのに、あるいはアナログテレビが映らなくなったのに、何で受信料を払わなくてはならないんだ!と感じる人も増えるでしょう。当然こちらも受信料収入の減少が予想されます。
現在、民放などでは、不況と構造的問題によって赤字に転落する局が相次いでいます。ここでさらに広告料の減少となってしまっては、存亡の危機にも繋がりかねません。
結局、地デジ移行は延期か、チューナーを格安で頒布するなどのして、地デジ推進側=放送局側が泣きつくしかない、というのです。
それでももし延期しなかったら?
おそらく、「テレビ見れなくなったけど、ま、仕方ないや…」と、そのままテレビを見ない人が増えることが予想されます。そうなると現在のようにテレビを見る、というライフスタイルは変化してしまうでしょう。経済的な問題で地デジ受信機の購入を控えていた人が、受信機導入のコスト低減、もしくは所得の向上によって、暫くしてから購入可能になったとしても、地デジ移行前のようにテレビへと視聴回帰するかは疑問です。結局泣きつくしかない状況になるのではないでしょうか?
しかし、こうして泣きつかざるを得ない状況になった場合、つまり、地デジ普及推進の為に何らかの補助が行われるようになった場合、その補助を受ける人と、受けれなかった人(=現在までに高価なテレビやチューナーを買った人)の間での不公平感は高まることが予想されます。それに、そもそも国庫からの補助となると、税金の投入ということになります。アホみたいな地デジ推進策の失敗が税金によって埋め合わされるのはなんとも頭にくることではないでしょうか?
放送のデジタル化は世界的な流れであり、国際的な競争力を維持する観点からも重要なことには間違いありません。
しかしB-CASに代表されるような糞仕様によって、日本は大変な失敗を犯すことになるかもしれません。10年ほど前には(主にアメリカなどで)ネットがテレビを駆逐する的なことが盛んに言われていましたが、地デジ移行の失敗によって、日本のテレビは駆逐とまでは言わないまでも、ネットによって大打撃を被らされるかもしれません。既に若い世代はテレビを見なくなってきますし、ね。
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