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2008年4月20日 - 2008年4月26日

祝?『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序 特装版』発売→売り切れ、そしてファンサブ

今amazonのDVDコーナーを覗いたら、注文可能になった日から発売日まで『空の境界』に数日抜かれただけで一貫してDVD売り上げランク1位だった『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序 特装版』が在庫切れになってました。なんだかんで売り上げ好調大成功!ということでしょうか。
でも売り切れるともう手に入りにくくなるので残念ですねー。

あ、ちなみに自分は発売日にamazonから届きました・・・けど、まだ段ボール箱から出していません見ていません。

今日見ます、多分・・・ラミエルかっこいいよラミエル(;´Д`)ハァハァ

それから上映時の感想はこちらこちらこちらとかで。

ところで海外のサイトを覗いてみると早くもファンサブによる海賊行為?が。
ファンサブの影響力はすごいですねー。
北米市場ではアニメ・マンガ(ゲーム)関連のイベント(東京国際アニメフェアやコミケみたいなの)の入場者や開催数はかなり増加してるの(実際統計でも北米でのアニメファン人口は増えている)にもかかわらずですけど、DVDの売り上げは2003年からだったかな?減少に転じたままだそうです。

この大きな要因がファンサブによるよるものは自明ですが・・・あまり罪悪感もないし、そもそもWinnyに乗せて流す日本人が悪いのだ、と言う外国のANIMEファン(と言っていいのか、な?)が多いのも事実。

なかなか解決への道は険しいようですねー・・・。

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アメトークのエヴァ芸人特集

エヴァンゲリオン芸人特集、今見終えました-。

大好きなケンコバさんが出てない上に、ちょっと芸人の面子が破壊力不足かな・・・と思ってたけど、すごく面白く作られてて良かったです。
録画しとけばよかったなー。

ともあれ、あっちゃんガチヲタ過ぎだよあっちゃんw

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祝!『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』発送

自分がamazonで予約注文してた明日発売の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』のDVDがどうやら今日無事に発送されたようです。

明日になったら見れるかな・・・。

あとこれに合わせたかどうかは分かりませんが、今日の深夜、テレ朝で放映される『アメトーク』が「エヴァンゲリオン芸人特集」らしいです。

「ガンダム芸人特集」とか「ジョジョの奇妙な芸人特集」とかも面白かったので、今回も面白ければいいな・・・。

ともかくエヴァが好きな方は是非チェックを!

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『時計館の殺人』感想:悲しく歪んだ愛情

今日は綾辻行人さんの館シリーズ第5作目であり、第45回日本推理作家協会賞受賞作でもある『時計館の殺人』の感想です。

まず初めに

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆★(7.5/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9.5/10☆)

です。

綾辻行人さんの館シリーズでも特に長い(文庫本にして600ページ強)のが、この『時計館の殺人』です。

綾辻さんのデビュー作『十角館の殺人』の冒頭で「エラリイ」が述べる「ミステリにふさわしいのは、時代遅れと云われようが何だろうが、やっぱり ね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人たち、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック・・・・・・。絵空事で大いに結構。要はその世界の中で楽しめれ ばいいのさ。但し、あくまで知的に、ね」という台詞が、一連の館シリーズの中で一番よく当てはまってるのが本作だと思います。

本作は、十年前に一人の少女・古峨永遠が死んだ後、それに関連するかのように幾人もの人が死んでいったという「時計館」における一連の事件を扱った作品です。

少女の死より十年後、鎌倉の森の暗がりに建っているその「時計館」で、雑誌『CHAOS(ケイオス・・・たぶんムーみたいな雑誌)』主催による 「オカルト企画」を催すため、同誌の副編集長にカメラマン、そして『十角館の殺人』にも登場した(当時はK**大学の元ミステリ研の学部生だった)同誌の 新米編集者の江南孝明と、テレビ等にも出演している有名”霊能者”光明寺美琴に、W**大学超常現象研究会の面々が集まることになります。

「十角館」同様、建築家”中村青司”によって建てられた「時計館」は、非常に独特な・・・異様な雰囲気を放つ構造になってお り、「新館」には何故か館の入り口側から背を向け、時刻を示す針を持たない無い時計塔が、さらに、事実上窓さえ無い「旧館」には、ちょうど振り子時計を模したような間取りの館中に、108個もの時計がひしめいていたのです。
そしてこの「旧館」に、企画の参加者たちが三日 間外界から完全に隔離するように籠もって、降霊会を開き、亡霊と接触しようとするのですが・・・この「オカルト企画」の趣旨によってクローズド・サークル と化してしまった「時計館・旧館」において、連続殺人が起きてしまうのでした。

すぐそこに、固く閉ざされた扉を隔てた向こう側に・・・「時計館・新館」に、人がいるのに、「探偵役」がいるのに、連絡が取れない、脱出も出来ない。
そんな異常な状況がより恐怖感を増し、読者をより本作の世界へとのめり込ませているように思います。

殺人事件発生後、「時計館・旧館」に言わば「閉じ込められた」人々は、外部への脱出を試みるのですがそれがまず不可能と理解すると、「旧館」の捜索に乗り出します。
しかしそこで発見されるのは、ずたずたに切り裂かれた上に、どす黒い染みが大きく胸元を汚している純白のウェディングドレスなど、奇妙でおぞましいものばかり。

十年前に一体何があったのか?

そして、今起きてるこの状況は何なのか?

そして「時計館」のこの不思議な構造は何なのか?

この館の主・古峨倫典が遺した詩の意味・・・「沈黙の女神」とは何なのか?

本作で描かれている「大きなトリック」には気が付いてしまうかもしれませんが(私も残念ながら気が付いてしまいました)、館が持つ意味、動機や凶 器の必然性など、「大きなトリック」以外にも興味を惹くような謎が様々あり、それらは伏線として最後に綺麗にまとまっていたこともあって、個人的には大変 楽しませて頂きました。

ミステリ好きな方には是非オススメしたい作品でもありますが・・・ちょっと長い作品ですし、「大きなトリック」に気が付いた時点で興味を失ってしまう方もいそうなのが、少し残念ですね・・・。

ともあれ少女・永遠さんに安らかな眠りが与えられることを願って。



綾辻行人『時計館の殺人』

個人的オススメ度:☆☆☆☆☆☆☆★(7.5/10☆)
個人的満足度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9.5/10☆)

時計館の殺人 (講談社文庫) Book 時計館の殺人 (講談社文庫)

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日本推理作家協会賞受賞作全集〈68〉時計館の殺人 (双葉文庫) Book 日本推理作家協会賞受賞作全集〈68〉時計館の殺人 (双葉文庫)

著者:綾辻 行人
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『十角館の殺人』感想:その1行で世界は変わった

今日は、綾辻行人さんのデビュー作『十角館の殺人』の感想です。

まず

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9/10☆)

です。

故あって3年ほど前からベッドで過ごすことが多くなった私は、その頃から活字を読むようになりました。
それ以前はともかく活字というものをほとんど一切読んでこなかったため、一体どんなものを読めばいいのか迷ったのですが、友人から勧められ本作を手に取ったのでした。

友人曰く「ともかく読んでみろ」と。

何でも本作は、ミステリの世界において「新本格」「綾辻行人以降」という言葉を生み、一種のメルクマールとなった作品だと言うので、「じゃあ、すごいんだろうな」と思い、軽~い気持ちで読んでみるかと思ったのですが・・・。

活字慣れしていなかったこともあって、ともかく序盤は読みづらく、ミステリ研のメンバーが、高名なるミステリ作家たちの名を渾名にして呼び合うのも「なんだかな~」と思ったものです(私は漫研などで「○○先生」と呼び合うのもすっごく苦手です)。
しかし「ミステリにふさわしいのは、時代遅れと云われようが何だろうが、やっぱりね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人たち、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック・・・・・・。絵空事で大いに結構。要はその世界の中で楽しめればいいのさ。但し、あくまで知的に、ね」と言って社会派ミステリには辟易だという「エラリイ」の台詞には、「うんうん」と頷いていました。「そうだなぁ・・・僕もそっちの方が好きだ」という具合に。

そうして始まった物語は、大学のミステリ研の面々が、半年前に凄惨な四重殺人事件が起きた大分の沖合にある孤島の館を訪れ、そこでの出来事が描かれる「島の章」と、島に行かずに大分本土に残った元ミステリ研の面々などの模様が描かれる「本土の章」を、日ごと繰り返しながら進むものでした。
そしてセオリーどおりに島で起こる連続殺人と、以前に島で起きた四重殺人事件を調査したりする本土の章が描かれ、

「おー、一人死んだ」

「あ、また死んだ・・・」

「ああ、次はこいつが死んだかぁ」

などと『そして誰もいなくなった』のような展開に、特段驚くこともなく読み進めていったのですが、とにかくどこがどうすごいのか、浅学な私には全然分からない。
至って普通の・・・『金田一少年抜きの金田一少年の事件簿』みたいな印象を受ける始末。
また自分が活字離れしていたこともあって、「この作品がすごい!すごい!って言われるってことは、よほどそれまでのミステリはダメダメだったのかなぁ・・・」などと思い、

「あー早く終わって欲しい」

「で、結末はどうなのよ?」

と、正直もうじれったく、半分飽き飽きしながら読んでいったところに凄まじい勢いでのカウンターアタック。痛恨の一撃。

例の1行を読んだときの、目で追ったときの、確認したときの衝撃ったらなかったです。

「え?あれ?」

「あ、えーと・・・」

「あ!あ!うあ!そういうことかあああああああああ!」

と、頭の中だけではその衝撃を受け止めきれず、思わず声となって口から漏らし、いつの間にか今までのページをめくり直していました。

誰が犯人か?
トリックは?
動機は?

こうした謎には、読んでいくうちに大方予想がついた、という方はかなりいらっしゃるかとも思います。

ですが、この世界に仕掛けられていたもっと大きなトリックに気が付く人は、そうはいないのではないでしょうか?

なるほど、自分は最っ初から、綾辻さんの掌中で踊らされていたのだなぁ・・・と思い、「綾辻行人以降」という言葉が生まれたのも頷けるほどの衝撃でした。

たった1行で読者が抱いていた世界観をひっくり返すとは・・・
なるほど確かにこれはすごいなぁ・・・と思ったものです。

そうして生まれた「新本格」の流れから我孫子武丸さんなどがデビューし、その我孫子武丸さんが乙一さんの才能をいち早く見抜くなどして現在に至る流れを作ったと考えると、「うん、確かにこれはすごいわ」と何度も一人頷いていました。

今読むとちょっと古くさい感じもしますし、こうしたトリックが他の作品でも使われることが珍しくなくなってますので、自分が読んだときほどの衝撃度を得ることは出来ないかもしれませんが、ミステリ好きで大どんでん返しが好きで未読の方になら是非、オススメしなければ!という作品です。

綾辻行人『十角館の殺人』

個人的オススメ度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10/10☆)
個人的満足度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9/10☆)


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『ゴールデンスランバー』感想:「たいへんよくできました」な、三十路に贈る青春エンタメ(ネタバレあり)

今回は伊坂幸太郎さんの『ゴールデンスランバー』が第5回本屋大賞を受賞したとのことで、急遽予定を変えてその感想です。
ちなみに予定通りだと、アガサ・クリスティ女史の『そして誰もいなくなった』つながりで、綾辻行人さんの『十角館の殺人』をやるつもりでした。

ともかくまず最初に

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9.5/10☆)

です。
個人的満足度は、今後、本作を上回るような作品を書いて欲しいという気持ちも込めて9.5☆
限りなく満点に近い9.5☆ということで。
伊坂さんファンなので、ちょっと(かなり?)甘めかもです。
あと感想がまとまりを欠き長いです。

それから本作はなるべく前知識や先入観を持たずに読んで欲しいですので、そうして下さる方には即ブラウザバック推奨です(^-^)





さて、本作は「伊坂幸太郎的に娯楽小説に徹したらどうなるか」という発想から生まれた作品だそうで、実際、そのコンセプトを裏切らない500ページ強に及ぶエンターテインメント長編になっていました。相変わらず伏線の回収とまとめ方も素晴らしかったです。

本作の大まかなストーリーは、「セキュリティポッド」と呼ばれる最新の監視装置があちこちに配された仙台市街・・・その仙台市街でパレード中だった首相を爆殺したとの罪を着せられた三十路ちょい過ぎの男(ちなみに現在失職中)・・・青柳雅春の逃亡劇となっています。

首相暗殺と国家的陰謀(・・・そう!陰謀論!)の影。そして濡れ衣を着せられた無辜の一般市民とその逃亡劇・・・と、何やらハリウッド映画や日本 の他のあらゆる娯楽作品でも既にやり尽くされ手垢まみれの感のある設定でしたが、エンターテインメント性をしっかりと残したまま、冤罪に監視社会、そして マスコミによるメディアスクラム等の社会問題もしっかり取り入れてる点は、「流石だなー」と思わずにはいられませんでした。

さて、本作の妙はその構成にあります。

導入部となる第一部「事件の始まり」の後の第二部「事件の視聴者」では、事件発生からおおよそ3日間における事件の当事者以外(野次馬やマスコミ や目撃者や一般市民)の反応が描かれ、首相暗殺の黒幕(それが誰なのかは分からない)や、マスコミによって作り上げられた「首相暗殺犯・青柳雅春」の姿が 描き出されて、事件の視聴者とともに私たち読者もそこで「青柳雅春」なる人物のイメージを形成させられます。

しかし次の第三部「事件から20年後」では、ノンフィクションライターの調査書を用いる形で、事件の真相に関する様々な憶測が述べられた後、「た だひとつだけ確かなことがあるとすれば(中略)青柳雅春が、首相殺害の犯人であると信じてる者は、今や一人もいないだろう」と述べられ「逃げ続けていた二 日間、青柳雅春がいったい何を考えていたのか、誰にも分からない」と締めくくられているのです。

事件の喧噪に塗れた第二部と、事件を冷静に分析した第三部。
そこでは「青柳雅春」に関する評価が全く違ったものになっています。

そのギャップを埋めるのが、本作の核であり本編とも言える第四部「事件」です。

この第四部は、逃亡する主人公である「現在の青柳雅春」だけでなく、「学生時代の(昔の)青柳雅春」と、大学時代のサークル(それは本当にくだら ない、ファーストフード店でだべるだけの小さなサークル)仲間で、同時に青柳雅春の彼女でもありながら、その後彼と別れ、他の男性と結婚、大学卒業後勤め ていた会社を円満退社し、今や一児の母となっていた「現在の樋口晴子」と「学生時代の(昔の)樋口晴子」という主に4つの視点をもって重層的に描かれていま す。緊迫感溢れる逃亡劇を強いられている「現在」の鬼気迫る状況と、仲間たちと楽しく安穏とした日々を過ごしていた10年ほど前の「学生時代」の温かなエピソードが、こ の二人の視点を通すことでより強いコントラストを放ちながら、とても印象的なものとして描かれています。

また、本作を面白くしているのが、登場人物たちが三十路をちょっと越えたあたりということにもあると思います。

「何でも消えていくよね、ほんと」と第一部で樋口晴子が述べるとおり、三十路を過ぎた登場人物たちにとって、大学時代はまさに消え去ろうとしている過去。
学生時代の気分が抜けきらなかった20代前半と違い、20代後半から30代前半というのは、仕事ではより責任のある地位を与えられ、プライベート では結婚、そして子をもうけるなどして、人生の新たな目標を定めるような時期・・・そんな端境の時期にあって、疎遠となっていた学生時代の仲間たちが、こ の首相暗殺という大事件によって、過去の記憶を呼び起こしながら、動き出すのです。

家族を事実上の人質に取られ、陰謀に荷担させられていた大学時代のサークル仲間で親友でもあった森田森吾は、事実上8年ぶりの再会になる青柳雅春を 陰謀に陥れるために輸送中であった車内で、ビートルズの『ゴールデン・スランバー』を口ずさんだ後、「帰るべき故郷、って言われるとさ、思い浮かぶのはあの時の 俺たちなんだよ」と目を細めながら、学生時代を思い起こし、

「おまえ、オズワルドにされるぞ」

「おまえは逃げろ」

と、自らを犠牲にするように一人車内に残り、青柳雅春を逃がします。

また、同じくサークル仲間で1年後輩であった「カズ」こと小野一夫も、陰謀に荷担させられそうになりながらも、数年ぶりに再会した青柳雅春を逃がします。

そして何より昔の彼女であった樋口晴子も、です。

彼女は事件翌日の報道で、かつての彼氏、青柳雅春が「犯人」として取り上げられてるのを見て呆然とし、「別れてからもう大分年月も経つ・・・人は 変わることもあるかもしれない」などと思いつつも、報道される「首相暗殺犯・青柳雅春」の姿が、あまりにも自分の知ってる「青柳君」と違うことから、疑惑 と確信を抱き、娘の七美とともに行動を開始するのです。しかし彼女だけは「青柳雅春」と再会はしません。ここも本作の秀逸な点であり、また伏線になってい るかと思います。

その他にも学生時代のバイト先の轟社長、大学卒業後就職した運送会社の岩崎先輩や、同業者であった前園さんなど、「青柳雅春」の本来の姿を知る様 々な人々が彼の逃亡に力を貸し、さらには定年間近で閑職に追いやられていた警察官の児島安雄さんまでが、青柳雅春と接してるうちに彼をサポートするように なります。

また「青柳雅春」にとって敵役としてあてがわれている警察庁の佐々木一太郎課長補佐(ということはノンキャリ?)や、近藤守刑事などにも、所謂「黒幕」から様々な圧力がかかっていたのだろうなと思われ、憎々しい思いを抱くこともそれほどありませんでした。

青柳雅春は自分の現状に対し「誰かの、どこかの誰かの思惑でこんなことが起きている」・・・関係のない人や自分の知り合いに危害が加えられ、死んでいく、と憤ります。
それに対しある人物は「青柳さんが相手にしているのは、馬鹿でかい抽象的な敵だよ。たぶん、国家とか権力とか呼べちゃうようなさ」と述べ、それに対峙したときに一番利口な方法は「逃げること、かな」とアドバイスします。

青柳雅春もそのことは重々承知していた上で、逃げる前に一世一代の賭けに出るのですが・・・。

その先にどのような結末が待っているかは、エピローグとなっている第五部の「事件から三ヶ月後」で。
繰り返しになりますが、数々の伏線が美しくまとまっています。
私にとっては号泣はしないものの、登場人物たちのように知らず知らず泣いていたというシーンが何度もある青春エンターテインメント作品でした。
東野圭吾さんの最新作『流星の絆』の帯文の「息もつかせぬ展開、張り巡らせた伏線、驚きの真相、涙が止まらないラスト。すべての東野(伊坂)作品を超えた現代エンタメの最高峰」という言葉がより似合うのは、こっちのような気もしました^^
「彼らが仕掛けた復讐計画の最大の誤算は、妹の恋心だった」も、「彼らが仕掛けた暗殺計画の最大の誤算は、青柳雅春を繋ぐ絆だった」という感じに。

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なお、ビートルズの『ゴールデン・スランバー』がどのようにして作られるに至ったかを考えながら読むと、読了後の余韻もまた心地よいものになるかと思います。
それから相変わらず伊坂作品の主人公は清潔漢ですね(^-^)



伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』

個人的オススメ度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10/10☆)
個人的満足度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9.5/10☆)

ちなみに余談で、ほんとーにどうでもいいことですが、第三部を書いているノンフィクションライターは、第二部に登場している名無しの中学生かとも思いましたが・・・真相は闇の中、ですかね^^;

ゴールデンスランバー Book ゴールデンスランバー

著者:伊坂 幸太郎
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