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2008年3月30日 - 2008年4月5日

2008年3月31日 (月)

通院日は雨のち晴れ

今日は二週間に一度の通院日。

北風と雨に阻まれながらもなんとか開院15分後に病院へと着くと、何故か今日は人がとても多くて待ち待ち待ちとなる。

待合室。

いつもの場所・・・廊下側の長椅子の端に座ってると、ヌクヌクしてきて三度ほど寝てしまい椅子から倒れ落ちそうになる。恥ずかしい。
そうやって寝そうになりながら私の番になるまでじっと待ってると、同じ長椅子に座ってたおばちゃんとおじちゃんが「遅いね遅いわ」と、話し始めた。

確かに遅い。
病院に着いてから既に1時間半が経過してる。
大抵の患者さんの診察は数分で終わるのに、だ。
私はうたた寝していたので分からなかったが、何でも隣のおばちゃんの言によれば、今、診察を受けてるのは若い女性で、どうやら既に30分以上も経ってるのだという。

「若いからきっと色々話してるのよ」

おばちゃんの言葉には非難めいた色が混じる。
それに同調したおじちゃんが、診察室の前まで行って「まだなのかい?あとどれくらいかかりそうなわけ?」と看護師さんに詰問する。

居心地が悪い。

さらに10分ほどして診察室から出てきた人は、確かに若い女性だった。
おばちゃんが女性に聞こえるような声で「随分と長かったわ」というようなことを言う。
おじちゃんがそれに応じて大きな笑い声をあげる。

ますます居心地が悪くなる。

おそらくカウンセリングでもしてもらっていたのだろうなと思いながら、廊下を過ぎ去ってゆく女性を見やる。
そして同時に隣のおばちゃんたちのことを思う。
今日は診察室で長話は出来そうにないな、と思い、私はため息が漏れてしまった。

それから数分後だったろうか。私の名前が呼ばれた。
おばちゃんたちとは目を合わさずに、そそくさと診察室に向かう。
「待たせてしまって申し訳ない」というようなことを言った先生であったが、私はそれほど気にしてなかったので、逆に申し訳ない気持ちになった。

そして診察。
この二週間の具合を大まかに話すなどの問診を経て、予定通り薬を切り替えることに。
口内がとても渇いて、呂律が回らなくなることが多々あるのだが、今の私はこの薬に頼るしかない。
先生は「何か具合が悪くなったら、いつでもいいですので、すぐに来て下さい」と最後に仰ってくれた。

わずか数分間ではなかったろうか。
手短な診察を終え廊下の長椅子へと戻ろうとすると、おばちゃんたちは私のその短い診察時間に満足したのであろう、「次は誰かな」と話し始めていた。
その様子を視界の端で捉えながら、長椅子の端に・・・元の場所に戻り、おばちゃんたちとは反対の方向に視線を向けると、受付の窓口でさっきの女性が会計をすませようとしてるところだった。

この手の病は二週間に一度の通院が基本だ。
彼女は二週間後も来るだろうか?
それとも自分には合わない・・・居心地の悪い病院として、二度とこの病院を訪れることはないことになってしまうのだろうか?

私はこの病院と先生が自分に合ってる・・・つまり好きであったため、彼女にもそうなって欲しいと思った。なんとなし、に。

自分も会計をすませ、受付の窓口をあとにする。
多少億劫に感じていた通院日に一つ楽しみが出来た。

病院の戸を押し開ける。
正午過ぎ。
雨はもう上がっていた。
青空の下で、私は濡れた傘をたたみ、雨上がりの心地よい風を受けながら、病院をあとにした。

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2008年3月30日 (日)

『六番目の小夜子』感想:そして、気付かぬうちに青春は終わる

※この記事は昨年書かれたものを加筆修正したものです。

恩田陸さんのデビュー作『六番目の小夜子』
映像化もされた有名な作品ですが、今回はその感想を。

 

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆★(6.5/10☆)
個人的満足度は厳しめに☆☆☆☆★(4.5/10☆)

 

ともかくもまずは「サヨコ」という行事。この設定が面白い、素晴らしい。
何とも謎めいていて、興味を惹かずにはいられません。
だからその謎に引っ張られるように、どんどんと読んでいけました。読んでしまってました。

そんなもんだから最後に謎を残したまま終わったときには、「あれ?あれれ??」と、何だかもやもやした気分になってしまったのです。
もし解釈は読者にお任せする、ということだとしても、解釈する・・・判断する手がかりが少なくて、自分の頭では明快な答えが出せそうにもなくて・・・。
ここは読後感が悪くなって、満足度が低くなった点です。

 


ところで、これは意味のないことだとしても、本作をカテゴライズするとしたら何になるのでしょーか?

 

ミステリ?
ホラー?
ファンタジー?

自分は読む前に漠然とミステリかな?なんて思って読み始めたのですが、何やら超常現象っぽいことが起きたりする上に、そのミステリとしての謎の多くも明らかにされないまま。
だから繰り返しになりますが、この点から言えば、本っ当に個人的満足度は低いのです。
ですが全く面白くない!(`皿´)ってことにはなりませんでした。
その理由は、自分が本作を「青春もの」として捉えて、その上で一定の満足感を読了後に得られたからです。

本作の高校生たち、どうでしょう?
総じて大人しいというか優等生ですよね。
酒飲んで、タバコ吸ったりする奴もいますが可愛いものです。
まー、あんましリアルっぽくないって感じる人が多いかもしれないですが・・・。
でも、この高校生たちの人物描写と高校そのものの描写、自分の高校時代と結構被るとこがあって、そこに「青春」を感じちゃったんですよね。
自分も一応地方の公立進学校に行ってたもので・・・。

で、その「青春補正」で満足度の☆がいくつかかさ上げされました。

作中では、「青春」というか高校時代ってのは、「中途半端な端境の位置にあって」、「奇妙に宙ぶらりん」で、本当にいつの間にか気付かぬうちに 「自分たちの将来や人生が少しずつ定められて、枝分かれ」していって、気が付けば「『受験生』という囲いの中に追い込まれている」ことを知っちゃう・・・ そしていつの間にか「卒業」しているものだって表現されてますけれど、これって自分の実感なのですよね。
もちろん高校生の中には、未来をきちっと見据えた立派な人もいますけど・・・。

でもやっぱり、高校時代は、学校というものは、そして青春は特別で、あんなに仲良く毎日当たり前のように一緒にいた仲間や友人とは、「卒業」を境にして、もう二度とそういう風に付き合えない。
仲の良いままであっても、学校という中で、毎日毎日顔を付き合わせるようなことは無くなっちゃう。
そういう意味で、学校ってほんとに不思議で変なところだと思うのです。

んでもって、そのなんとも不思議な「学校」という場で過ごした日々-それはよく青春とか呼ばれる-ってのは、本当によく分からないものだとか思うのです。
社会の、世界のルールだとか仕組みだとか、とにかく色んなことが分からなくて、自分自身のことすら分からなくて、謎は残ったまま、そしてそのまま「卒業」していくものだと思って・・・。

だから『六番目の小夜子』でも、そうして謎は残ったまま終わっても、ま、それも「青春」よねっていう風に自分の中で割り切ったのです。
気付かないまま、分からないまま、終わっていく。卒業していく。
だから、不満!不満!不満!ってなことにはならずに、少しだけ満足することが出来たというわけです。

あとはちょっと期待しすぎたということでしょうか。その点で、満足度も低めになったということで・・・ここは米澤穂信さんの『愚者のエンドロール』と同じパターンです。
満足度に比してオススメ度が高いのは、恩田陸さんの本、とりあえず読んでみるならば、やっぱデビュー作でしょうということで。

いかかでしょう?


『六番目の小夜子』

個人的オススメ度:☆☆☆☆☆☆★(6.5/10☆)
個人的満足度:☆☆☆☆★(4.5/10☆)

六番目の小夜子 (新潮文庫) Book 六番目の小夜子 (新潮文庫)

著者:恩田 陸
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