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『ねじれた家』感想:ねじれてる家。ねじれられない家。

今回はアガサ・クリスティ作の『ねじれた家』の感想です。

まず

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆(7/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆(8/10☆)

です。

たとえアガサ・クリスティの作品を読んだことが無くとも、また彼女が作家であることを知らなくとも、その名を聞いたことがない、という方は少ないのではないでしょうか?
「ミステリの女王」と呼ばれたアガサ・クリスティは、多くの作品を私たちに遺してくれました。
『そして誰もいなくなった』『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』に『アクロイド殺し』etc...
また、そうした作品群の中で、エルキュール・ポアロにミス・マープルといった名探偵たちも生み出しました。

そんなアガサ・クリスティが、雑誌のインタビュー等で自らの作品を格付けした際に、常に上位に挙げていたのが、この『ねじれた家』だったそうです。
私はポワロや『そして誰もいなくなった』などを耳にしたことはあっても、『ねじれた家』という作品については、3年前に本を読み始めるようになるまで全く知りませんでした。

しかしたまたま上記のような事実を知り、古本屋で本書を見つけた私は、「ミステリの女王」が自薦する作品を読んでみようとレジに向かったのでした。

本作は、大金を掛けて建築され、確かに豪華ではあるもののまったく釣り合いを無視して奇妙にふくれあがってしまった「ねじれた家」に住む「心のねじれた老人=一代にして巨財を成したアリスタイド・レオニデス」が毒殺されたことから物語が動き出します。
その老人の孫娘・・・ソフィア・レオニデスと恋仲であった外交官のチャールズ・ヘイワードは、父がスコットランドヤードの副総監であることもあって、タヴァナー主任警部とともに事件解決のため「ねじれた家」に乗り込むのですが・・・

「ねじれた家」には一癖も二癖もある3家族・・・「老レオニデス一家」「老レオニデスの長男であるロジャー一家」「老レオニデスの次男であるフィリップ一家」が住んでおり、さらにそこに、老レオニデスの義姉、老レオニデスの孫らの家庭教師、それに使用人や弁護士などが絡んで、複雑な人間関係が形成されていたのです。
そして彼らはこの「ねじれた家」の中で、お互いに愛し、憎み、嫉妬し、疑い、依存しながら、ねじれた生活を送っていたのでした・・・ちょうど亡くなった老レオニデスがそうであったように。

さて本作のポイントですが、それは主人公であるチャールズが、ポアロのような「名探偵」では無いことです。
彼はヤードの副総監である父の助言通り、『ねじれた家』に住む一族らに様々な質問を投げかけ、主として聞き役に回りながら様々な情報を引き出していきます。
そのため本作では、会話の部分がとても多くなっており、そうした中からチャールズと似たような立場で読者が犯人像を推理をするような形式になっています。
また、この作品でも『そして誰もいなくなった』と同様、以下のようなマザー・グースの唄が取り入れられています。

ねじれた男がいて、ねじれた道を歩いていった
ねじれた垣根で、ねじれた銀貨を拾った
男はねじれた鼠をつかまえるねじれた猫を持っていた
そしてみんな一緒にちいさなねじれた家に住んでいたよ

この作品については、そのクライマックス・・・犯人が分かる場面で、私は戦慄を覚えました。
ラストはチャールズの父の言葉で終わるのですが、まさにその通りの読後感となりました・・・。

ちなみに現在ではレオニデス一族のようにねじれて絡まってしまった家というのは珍しくないかもしれませんね。
同時に、ねじれることすら出来ない、平行線を辿ったままの家も少なくないような気がします・・・。


アガサ・クリスティ『ねじれた家』

個人的オススメ度:☆☆☆☆☆☆☆(7/10☆)
個人的満足度:☆☆☆☆☆☆☆☆(8/10☆)

ねじれた家 (ハヤカワ文庫 AC) Book ねじれた家 (ハヤカワ文庫 AC)

著者:アガサ・クリスティー
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