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『チルドレン』感想:主役は助演男優

祝!本屋大賞受賞の伊坂幸太郎さんの作品としては自分にとって第4作目になる『チルドレン』を読了致しました。

まず

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆☆★(8.5/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆★(7.5/10☆)

です。以下ネタバレ分を多少含みますので未読の方はご注意を。


本作は、いわゆるミステリにおける「日常の謎」を扱った短編集です。
「バンク」「チルドレン」「レトリーバー」「チルドレンⅡ」「イン」の5つの短編が収められており、それぞれの話は時間軸が前後しているものの相互に関連しながら繋がっていて、1つの長編とも言える物語を構成しています。
そのように本作を長編と為らしめてる男が「陣内」です。
それぞれの話では一人称で語る「主人公」が違いますが、どの話にも必ず一人の助演男優・・・「陣内」が出てくるのです。

本作はこの陣内が「主役」です。「主役」だと思います。

「常識」という枠から逸れ、まるでトラブルメーカーのように振る舞いながらも、不思議と憎めない男・・・「陣内」は、ある時は「日常の謎」を生み出し、またある時は「日常の謎」を解決する鍵となります。
ですが彼は、決して一人称で語る「主人公」とはなりません。
そこにこの作品の妙味があります。
「陣内」が生み出す不思議な日常を、それぞれの話の「主人公」たちと「読者」である私たちが味わうのです。

300ページ強(文庫版)に収められた物語は、字も大きい上に、伊坂作品の特徴である温かいユーモアやセンスたっぷりの会話とやり取りで満たされています。
ですので、伊坂節が合わない!という方以外でしたら、本作の世界観に後押しされて、あっという間に読了となるかと思います。

伊坂作品の入門書にもいいかもしれませんが、やはり読まれるならデビュー作から順に、ということがいいかと(その理由はデビュー作から読んでいけば分かると思います^^)。
満足度がやや低いのは、自分が大どんでん返しが好きなのと、些か期待しすぎたために、他の長編伊坂作品に比べてちょっと物足りなさを感じたからです(この理由は米澤穂信さんの『愚者のエンドロール』などと同じです)。
ただ、後からジワジワと心地よい清涼感が体中に染み渡っていくような作品でもありました。
こうした読後感の良さは、伊坂作品の特徴の1つですね。


伊坂幸太郎『チルドレン』

個人的オススメ度:☆☆☆☆☆☆☆☆★(8.5/10☆)
個人的満足度:☆☆☆☆☆☆☆★(7.5/10☆)

チルドレン (講談社文庫 (い111-1)) Book チルドレン (講談社文庫 (い111-1))

著者:伊坂 幸太郎
販売元:講談社
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