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『すべてがFになる』感想:もっと早くに読みたかった(ネタバレあり)

森博嗣さんのデビュー作、第1回メフィスト賞受賞作品『すべてがFになる』を本日・・・じゃなくて昨日午前に読了しました。

まず初めに・・・

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆★(7.5/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9/10☆)

です。
以下の文章にはネタバレを含みますのでご注意を。

伊坂幸太郎さんの『チルドレン』を読み終えたあと、同氏の『死神の精度』『アヒルと鴨のコインロッカー』、藤原伊織さんの『テロリストのパラソ ル』、他、いくつかの恩田陸さんの作品、村上春樹さんの作品から何を読むか迷った結果、手に取ったのは森博嗣さんの『すべてがFになる』でした。
自分にとって初めての森博嗣作品でもあります。

久々にコテコテな本格系ミステリを読みたいなぁと思ってたので、積み本から選んだわけでありますが、正直躊躇もありました。

まず作者が自分と正反対、理系の先生・・・助教授であられたこと。
そしてあくの強い(と、個人的に感じてる)メフィスト賞受賞作品であったこと。
あと結構分厚いこと。

で、それらからなんと言いますか、自分が苦手とする理屈っぽく気取った言い回しとかが延々と続きそうな、や~なイメージを・・・偏見を、多少持っていたからです。

実際「すべてがFになる」と書かれた中表紙をめくると現れる、青木淳さんの著書の引用などを読んだときには目眩がしました。

その直後、第1章の西之園萌絵と真賀田女史の問答にも似た目眩を覚えたのですが、会話のテンポが自分の文字を追うスピードと上手くシンクロしたのでしょうか?
意外にもするすると読めていきました。

あとは多少冗長で、間延びするような感もありましたが(一部の登場人物は正直要らないような気もしますが・・・この西之園萌絵と犀川創平助教授の コンビの話はシリーズ化されてるようですので、その為に彼らの周辺の人物の描写にも、多めに筆を割いたのでしょうか???)、最後まで一気に読めてしまい ました。

読後感は非常に良かったです。

で、肝心のミステリとしてのトリックですが、2008年に読んだからでしょう。
「すべてがFになる」という言葉を含め、文系人間の自分にも大方想像はつきました・・・あくまで大まかに、ですが。

例えば、ミステリを読んでいると、時にちょっとしたことが引っかかりそれが閃きに繋がることがあります。
自分は166ページ目、四季博士の部屋を皆が捜索した際、ダイニングキッチンに椅子が2つあることが、妙に心に引っかかり、「おや?」と思いました。
そして「THE PERFECT INSIDER」という副題。
さらにこれはちょっと卑怯ですが、裏表紙のあらすじの「~彼女の部屋からウェディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた」という表現。
どこにも「真賀田四季博士が殺された」とは書かれてません(叙述トリックなどでは良く使われる手ですね)。

萌絵がミステリ好きで「秘密の通路とかがあったらだめなんです」とノックスの十戒に則ったことを言う件があることからして(しかし中国人留学生の 呉さんを登場させてるのはちょっとした遊び心でしょうか・・・可笑しかったです)、あの部屋にはもう一人、誰かがいないと、或いは出入りしないと犯行が成 り立つとは考えにくい。

「誰か」とは誰か?
誰が適当か?可能性が、合理性があるか?

また登場後ほとんど描かれない「真賀田未来」という存在。

そういった点から自分は大まかに作品のストーリーを構築していきました。
それは大まかに正解し、しかしあくまで大まかにであり、自分も犀川助教授と四季博士から補講を受けることとなりました。

ちなみに四季博士の多重人格については、父親のいない上に監禁状態という特殊な環境の中で、四季博士が父役と母役を演じわけてるのでは?と解釈しましたが・・・。

まあともかく面白かったです。
大げさなクローズドサークルは自分にとってとても魅力的で、ちょっと(いや、かなり?)マンガやラノベに登場しそうなキャラである四季博士、犀川助教授、西之園萌絵らも自分は好きです。
ですからでしょうか、子殺しという酷薄なことをした四季博士にも不思議と嫌悪感は抱くことはありませんでした。
最終章のエピソードも好きです。
繰り返しになりますが、満足度高し!
ただ他人に勧める作品としてはちょっと躊躇するかも・・・やや冗長な感がありますので・・・。

ああ、しかしこの作品、本当に前世紀中に読んでおきたかったなぁ・・・


『すべてがFになる』

 

個人的オススメ度☆☆☆☆☆☆☆★(7.5/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9/10☆)

すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫) Book すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫)

著者:森 博嗣
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 読書の醍醐味は小説にある。本がやみつきになる切っ掛けは、感動させらてた文学との出会いが大きいのではないか。  毎日、検索サイトから多くのブログを読ませてもらっているが、意外と小説をこまめに発表しているところに行き着くことがある。プロの水準というものがあるかどうかは知らないが、熱心さには感心させられることの方が多い。  プロ作家にしても前ほど売れていない。文芸雑誌の実売も極端に落ちている。本になってもベストセラーになるものは限られている。小説家として俗に食えない状態だという。素人の小説...... [続きを読む]

受信: 2008年3月20日 (木) 19時19分

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