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『秒速5センチメートル』と『時かけ』(4)ネタバレあり

3の続き) 初恋ってさー、まあ、思春期っつーの?小学生、中学生、高校生とかさ、まあバラツキあるにせよ、そこらへんじゃないっスか。
で、その初恋が実る・・・ここで言う「実る」ってのはまあ結婚とかそういう人生のゴール的なものにまで辿り着くかって話ですよ。Hとかセックスじゃないですよ。そうだったら実りまくりですから。

で、まあ人によって程度の差はありますがー、人間って成長したり変わったりするじゃないですか?
だから、中学の頃に好きだった初恋のあの子をずっと好きでいられる方がムツカシイと思うの。
成長して自分が変わり、学校や職場、自分の立ち位置とかの環境も変われば、初恋のあの子も、あの時好きだったあの子もみな過去の人になる。
「今」の自分が好きな人が新たに出来る。
初恋のあの子を好きだった「俺」と、今この瞬間、初恋のあの子じゃない子を好きな「俺」は違う。違う「俺」
そうやって色んな人を好きになって行くのはケイハクなことでもなんでもなくて、ごくごく自然なことだと思うのね。
「初恋」をしていたあの頃と違って、「今」のセカイは変わってしまったんだと理解できてるのなら、なおのさら。

で、ここで貴樹君と、それに共感してしまう俺です。

ね?キモくないっスか?

もうずっと会ってない、連絡も取ってない、取れてない人。
ただ想い続けてる人。
幼い日の「約束」だけが頼りな想い人。
そう、まるでギャルゲとかエロゲとかに出てくる「あの日の約束、そして数年ぶりの再会」を夢見てるようなカッコ悪さ。

そういう「約束の人」「約束の地」「約束の場所」(奇しくも前作の表題が『雲の向こう、約束の場所』なんだけどw)を求める男は情けない。そんな俺、情けない。
でも、そういう「約束の場所」を夢想していられるうちはまだ幸せなのかもしないなー。
実際に「約束の場所」に行ってみると、そんなキラキラしたものなんて無くて、「約束の人」もいないってことに大抵気づかされるわけで。

プロモにあった「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。」という言葉。
貴樹は確かに成長を見せているけど、それはまるで桜の花の落ちるスピードである秒速5センチメートルのようにゆっくりとしたものだったみたいに感じる。
対して明里は、初恋の、貴樹の影を引き摺りながらも、彼よりもずっと速いスピードで成長しながら生きてきたんだと思う。現実を、世界をしっかりと見据えて。
だから彼女の左手の薬指にはソレがあるのだと。

成長しきれなくて、いや成長が遅いから、いつまでも過去を、初恋を、引き摺ってしまうのかもしれない。
初恋とか、過去を引き摺る人は、そういう人なのかもしれない。
そんな感覚を抱く俺自身。
そして、そうやってるうちに、現実も世界も見失って、いつの間にか自分も見失ってた。
よくあることかも、しれません、ね。

だからこの作品に、貴樹の想いに共感してしまう俺は超カッコワルイと思うのです。

ま、もちろんこれも見方と解釈の一つでしかないっス。
新海さんの作品は、すべてを説明しようとせず、謎を残すというか説明を敢えて排する傾向があって、『秒速』もまさにそんな作品です。特に三話の『秒速5センチメートル』はほとんど説明されません。
のでので、バッドエンド⇔ハッピーエンドとかいう範疇にとどまらず、みなさん色んな解釈をしてます。
そして、それが多分正解なのだろーなーと。

人生観、恋愛観によって、経験によって、価値観によって、変わってくる。180°感想が変わることもある作品だと思うから、「切なく美しい物語」って意見も「情けなくカッコワルイ男のよくある話」って意見もまた頷けるのですわー。

なお、後々ノベライズなどで詳しく描写されたりすることの多い新海作品だけど、これもすでに新海さん自身の手でダヴィンチ誌上でのノベライズ化が進 んでます。この手法は賛否両論あるけど、自分は・・・描くならやっぱアニメで描いて欲しいなぁ、と。贅沢な望みだけどさーw(続く)

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