『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』感想&ちょい解説:それは、おそろしくエンターテインメントな(ネタバレあり)

もう日にちが経ってしまいまあしたが、『エヴァQ』をバルト9世界最速イベントにて見てきました。

Eva9

久しぶりの記事の今回は、そんな『エヴァQ』の感想です。

ネタバレあるので、そういうのが嫌な人は見ちゃダメよ。

それにものすごく長く書いちゃったんで、そういうのが嫌な人も見ない方がいいよ!

さて、おそらくほとんどの人がそうであったように、上映開始後からずっと「どうなってるの?」という気持ちが頭の中でぐるぐる。
けれど旧作からのファンの僕には個人的にグッと来るシーンも盛りだくさん、なので上映終了直後も作品への印象は悪いものではなかったのですが、絶賛拍手、大拍手という気持ちでもありませんでした。
とにかくよく整理できなくて。

そしてそして、2回目の鑑賞。
そこで『Q』は、僕にとってめちゃくちゃ面白いエンターテインメント作品に映りました。
うん、エンターテインメント!


■エヴァは「繰り返しの物語」

さて、そんな『Q』ですが、その前にまずエヴァとはどんな話なんでしょうか。
これには総監督庵野秀明氏が新劇場版シリーズの制作にあたって発表した所信表明文の中に以下のような言葉があります。

「『エヴァ』は繰り返しの物語です。主人公が何度も同じ目に遭いながら、ひたすら立ち上がっていく話です。わずかでも前に進もうとする、意思の話です。」

この繰り返しという言葉は、旧作ブーム時(1996年~97年)のスタッフインタビューにも出てきていたキーワードです。
そして、『Q』も、まさしく繰り返しの物語でした。

破のラストでシンジくんは「僕がどうなってもいい。世界がどうなってもいい。でも、綾波だけは絶対助けるッ!」とかっこいい台詞を吐いて、ゼルエルに取り込まれた綾波を救出しました。
破を公開初日に見た僕は、このシーンにおおすごいなぁと思いつつも、「世界がどうなってもいいのかよ!」と心の中でツッコミを入れ(もちろんここの「どうなってもいい」ってのは「死んでも助ける」とか言う場合の「死んでも」と同様なことは承知しておりますが)、こういうのに乗り切れず冷めちゃう人も多いんじゃないかなー・・・とエヴァオタの一人として心配もしましたが、それも杞憂に。
破のシンジくんは公開直後から大好評で受け入れられ興収もうなぎ登り。
「シンジくんかっこいい!」「シンジ成長したなぁ」という声が次々に上がり、果てには「シンジさん」という存在(ネタ)まで生みだして、海外オタが選ぶ嫌いなアニメの主人公ランキングでも常に上位にランクインしていた旧作シンジくんは、破のシンジさんによってその鬱々としたイメージを返上することに成功しました。


■あれ?シンジさんはどこに?

そんな新劇シンジくんですが、『Q』の中では、まるで旧作のシンジくんが帰ってきたかのようなダメっぷりとの感想も多いです。
「旧劇のシンジが帰ってきた」とか、「まるで別人じゃねーか!」「破のあの勇ましさはどこにいったんだよ!」と、怒りや不満の声もよく聞かれますが、
シンジくんは破からQで、さらに言うなら旧作からも、特段何も変わってないのです。

旧作シンジくんというと、真っ暗な部屋でパイプ椅子に座って項垂れていたり、アスカが奮戦中なのにベークライトで固められた初号機の前で膝を抱えていたり、寝ているアスカに助けを求めながら、はだけたおっぱいを見てオナニーしちゃったり、「いやだ、死にたい。何もしたくない」なんて言ったりするイメージから、ダメで鬱々なキャラとして印象が強いと思いますが、人間関係が壊れていくことで自身も壊れていくことになる終盤・・・それよりも前のシンジくんは、悩みを多く抱えながらも、ふつーに明るい面や、調子乗りな面もあったりする中学生の男の子でした。
アスカにちゅーしようとするしね!

で、新劇ではシンジくんが変わった、別人のようになったという感想もありましたが、スタッフやシンジ役の声優・緒方恵美さんの言葉にあるように、シンジくん自体は旧作の頃からずっとシンジくんのままです。
別人になったのではなく、彼を取り巻く環境が変わっただけなのです。

そして、これは今回の『Q』にも当てはまります。
『Q』でシンジくんがやったことは、破でシンジさんと呼ばれたシンジくんがやったことと同じなのですから。
そう、まさしく繰り返しの物語。


Qでシンジくんは何をしたか

『Q』でのシンジくんは、カヲルくんとともにロンギヌス・カシウスの槍で世界を作り直そうとします。
サードインパクトで世界がどうにかなってしまって、ミサトさんやアスカはやけに冷たい上に攻撃してくるし、トウジやケンスケや委員長は、死んでしまってるのかもしれない・・・。

そして助けたと思ってた綾波も助けられてなかった・・・そんな嫌な世界から抜け出して、元の世界に戻りたい、創り直したいと願ったシンジくんは、その「願い」のまま、感情の赴くまま、カヲルくんの制止も聞かず、行動します。

これは「綾波を助けたい」という「願い」のままに行動した『破』でのラストシーン、
綾波救出シーンとやってることは一緒です。繰り返しです

槍を抜くカットのQシンジくんと、コアの奥底に沈んだ綾波を引き上げる・・・引き抜くカットでの破シンジくんは、繰り返されたかのように同じような勇ましい姿で描かれています。
一度エヴァに「乗りたくない」と言った後に、自分の意志で「乗る」と決めるのも一緒で、
回りに、「お前はもうエヴァには乗らんでいいよ」と言う人がいるのもやはり一緒ですよね。
そして、どっちもゲンドウの計画通りにシンジが動かされているというとこも一緒です。繰り返しです。

しかし、繰り返しであっても、僕たち観客の印象は、かなり違います。
破が多くの人の拍手喝采を呼び、カタルシスを生んだのに対し、今回Qのシーンは、シンジくんに対する苛立ちや不満を抱いたという感想をよく目にします。
ほんとにシンジはアホだ。ダメだ、ダメシンジに戻った、シンジ株大暴落、と。
同じように願い、行動したが結果が違った。
気持ちいい(ように見えた)結果と、悪い結果。
けれど単に結果の違いだけならば、シンジくんをダメダメだと言う人は、今ほど多く現れなかったと思います。
シンジくんに同情する声が今より多くなって、ダメシンジという感想は埋もれることになったでしょう。
しかし、シンジくんを責める声は、僕が思っている以上に多いです。
どうしてでしょう?



■観客は、知っている。

今回の『Q』は、『序』『破』のように、旧作を変えながらも大枠としては同じ、というものから大きく変化し、20年近くエヴァオタを続け、知識やうんちくを積み込んでいた者でも、鑑賞中に、画面で巻き起こってることをすんなり一発で理解したり、どう展開していくかを正確に予想することは難しかったでしょう。
新劇からのファンとかなら尚更だと思います。

ただ、そんな新劇からのファンで、旧作を一切見たことがない人でも、頭の整理が追いつかなかったであろう初見の鑑賞中に、この後どうなるかがまず予測できたであろうという場面がありました。

それが繰り返しの象徴である、Qでの槍を抜くシーンです。

ここでは、初見であっても、ほとんどすべての観客が、いわゆる「悪い予感」しか感じなかったはずです。

シンジにとって、いい方に転ぶか、悪い方に転ぶか分からない、とかではなく、いわゆる「悪いこと」「いやなこと」が起きると、もう分かりやすいほどに分かります。観客は分かります、知っています。

仮に、旧作はおろか、序破を見たことが無い人がこの場面を見ても、シンジにとって悪いこと、いやなことが起きることは、ほとんどの人が感じるはずです。
物語の定型、「お約束」ですから。

悪い予感しかしないのに、槍を引き抜いて「やっちまった」もんだから、そんなシンジくんにストレスを感じる観客が生まれます。「ああ、ダメシンジ」と。
対照的に、破のクライマックスは「翼をください」という曲とともに、シンジくんが綾波を救うことが、観客に強く示唆されます。
その結果、一方はシンジさんになり、一方はダメシンジと言われる。
やってることは同じで、物語の中にいるシンジくんは願いを追求した結果、破の時もQの時もどうなるか、結果は知らない。知らされてない。分からない。
けれど物語の外にいる観客の僕たちは、知っている。分かる。
だから苛立つ。ストレスがたまる人がでる。


■そんな僕もあなたもWille(ヴィレ)メンバー?

この苛立ちってWilleメンバーのシンジに対する態度とちょっと似てるかもしれません。
物語の定型として「知っている」観客、14年間の物語を「知っている」ヴィレと、それらを「知らない」シンジくん。
そしてシンジくんに冷たくあたりながらも憎みきれてない人がいれば・・・それはきっとミサトさんと同じですね。
シンジくんは同じことをやったんだけど、『破』の綾波救出シーンに拍手して、行きなさいと言って、
繰り返しの『Q』の槍抜きではストレスを感じて、阻止しようとして。

■それでもシンジくんは前に進む

シンジくんは今回も(と、言っても、破の綾波はロストしておらず、それがシンジくんにとって「希望」となるのでしょうが)願いと裏腹な結果を招きました。
前回のサードインパクトからの大災厄は、シンジくんが凍結されていた14年の間に起きたことで、彼に実感が無いのに対して、
今回のは目の前でカヲルくんを失い、しっかりと「知って」しまいました。
知らなかったことを口実に逃避することは、もう出来ません。
それは14歳の少年にはあまりにも酷なことですが、それでもシンジくんはラストシーンで荒廃した赤い大地を歩いて行きます。
アスカに手を引かれ、黒波ともともに。
その足取りは、『EOE(=The End of Evangelion 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air / まごころを、君に)』でミサトさんに手を引かれていた時よりも、ずっとしっかりしているように見えます。



■『EOE』が戻ってきた?


さて、『EOE』と言えば、今回、「『EOE』が戻ってきた」というような感想も散見されます。
確かに上述のようなストレス、また、初見では理解が難しいぶっとんだ展開、さらには、絵的に『序』『破』よりずっとグロいシーンもありますから、それらからの連想で、『EOE』の再来のように語っているのかもしれませんが、『Q』は、『EOE』とは全然違うと思います。

確かに僕も、初見で『EOE』のことが頭に浮かびました。
でも、それは、97年に劇場で友人と体験した「いったいなにがどうなってんの?」というこちら側の戸惑いという意味で。
ですが、『EOE』と違って、『Q』の中身自体は、僕はほんっとにおそろしく気持ちよく見れたのです。


■狂気無きエンタメエヴァンゲリオン!

東浩紀さんが今回『Q』を見て、つまらないし退屈だったとの感想を、twitterで呟かれてました。
これは僕の感想と真逆なのですが、東さんと同意見の箇所があります。

東さんは自らを旧エヴァ原理主義者とし、その自分の好きな旧エヴァにはスタッフの狂気を感じたそうです。
今回の『Q』では、「ああ、昔のエヴァンゲリオンが戻ってきた!」「EOEだ」「EOEっぽい!」という感想もまたちらちらと散見されると書きましたが、うん、これは東さんの言うとおり、『Q』には『EOE』のような狂気は無いと思います。
むしろ『Q』はすんごくエンタメです。

『EOE』って、「あー、こいつほんとに刺しちゃうかもなー・・・」みたいなもの・・・狂気・・・ヤバさがあって、もし今回のようにエヴァ同士が戦う場面があったら、マジで相手を殺しちゃうかもしれない緊張感を感じたと思います。

でも、『Q』はそこまで感じるようになってないです。

『Q』のあのセントラルドグマのシーン、やっぱりすごく緊張するんです。緊張します。
でも、先に述べたように、この場面には「悪い予感」という「知っていることの安心」が観客にあって、リミッターが仕掛けられてるんですね。

ほんと緊張します。でも、それを無茶に突き抜けさせず、あくまでエンタメ作品としての緊張感として制御されてるよう思います。
『EOE』とはそこが全然違う。

だから、シンジ&カヲル+アヤナミレイ(黒波)組 対、アスカ+マリ組の戦闘でも、アスカは言葉こそきっついですけど、彼女にも当然狂気なんてものはなくて、むしろ、すごい正気で、そして何より、すごい一生懸命で。
量産型エヴァと戦ってたときの狂気に背中を押されている感じが全くない。
ほんと言葉だけはきついけど、シンジくんに対する想いをめちゃくちゃ感じます。
そんなアスカを「分かってる」マリも、彼女をきっちり援護射撃!

足蹴にしたりしてますけど、ラストシーンなんて、なにあれ、もう、じゃれあいじゃん!

それに黒波、彼女、『Q』がほんとに『EOE』っぽいんだったら、間違いなく死んでます。殺されるキャラです。
あるいは殺されなくても、死んでます。きっと、自爆して。
でもアスカもマリもそうしなかった。黒波もアスカに「あんたはどうしたいのよ!」と言われ、自爆しなかった。庵野さんたちはそういう構成にはしなかった。
旧作ではあんなに限られていた「ありがとう」の言葉を、綾波は『破』でアスカとマリにしっかり言ってるんですよね。
黒波は綾波(ポカ波)じゃないけれど、ポカ波が積み重ねてきたものによって、彼女はアスカとシンジについていくことも許されているのです。

『EOE』の三人だったら、あんなにも自然に三人ともが同じ方向に歩む姿を、僕は想像が出来ません。
あの「気持ち悪い(後味悪いけどハッピーエンドだと思ってます)」から15年経って、あの時とは明らかに違う彼らに、僕はじーんとしちゃうのです。
『Q』のラストシーン、ものすごく前向きで、希望を感じますから。

うん、エンタメです、エンタメしてます、『Q』は。
『EOE』と同じようなことをしようとしてるんじゃなくて、『EOE』と全然違うことをしようとしてるんですよね、きっと、これ。



■シンジくんは何を望み、庵野さんたちは何を作るか

かくして希望のシーンで『Q』は終わります。
そして次作、シンジくんは何を願い、何を選択するのでしょうか?
『EOE』でシンジくんは、全人類がLCLへと還元された後に「いつかは裏切られるんだ。僕を見捨てるんだ。でも僕はもう一度会いたいと思った。その時の気持ちは本当だと思うから」と、再び人としてのかたちを取り戻す選択をしました。

しかしあの時と違い、新劇のサードインパクト後の世界には、大災厄が起きてもそこで生きようという意志を持った人々がいます。
それらを含めてすべて創り直す、リセットするようなことがハッピーエンドに繋がることなのかどうか・・・。
庵野さんの師匠にあたる宮崎駿監督は、原作版ナウシカで、世界を創り変えることよりも、腐海のほとりで滅びとともに生きていくことを決断するナウシカを描きましたが・・・。

ともあれ、庵野さんたちが、何を作ろうとしてるのか、それは、豪華版劇場パンフレットにある大塚さんのインタビューの最後の段に答えがあるのかもしれませんね。

シン・エヴァ、いやが上にも期待が高まります!


■そして僕は年をとった。

10代の時に出会ったエヴァ。
あの日の僕は、あれから17年後に、あの時以来の、(あるいはあの時以上の?)ブームがくるなんて、正直夢にも思いませんでした。
そして、17年前にはきっと何とも思わなかったんだろうなぁと思う言葉にひっかかる自分に、ああ、僕はほんとに年を取ったんだなぁと、同じく年を取った友人と一緒に劇場を出ながら笑いあうのでした。

「ファイナルインパクトはないよねw」と。

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『星を追う子ども』についての、さらなる感想(ネタバレ無し)

大ファンである新海誠さんの最新作『星を追う子ども』を、公開初日に見に行き、感想をアップしましたが、もやもやとした気持ちを抱えたままでしたので、もう一回見て、自分の気持ちを整理してみようと思い、再度踏み込んだ感想を書いて見ました。


過去の作品と違い、良かったところよりも、(好きだからこそ)やはり残念なところが目につく印象でした。

過去の作品では個人制作出身ということで稚拙だと批判されることもある新海さんの特徴(個人的には好き)が、演出、作劇の上でむしろ効果的に機能していましたが、今作ではそれらがあらゆる意味で中途半端な効果を与えてしまっているように思います。

説明・描写不足であることも、単調で淡々としたモノローグや台詞も、動きが少なく一枚絵が多いことも、過去作ではテーマとも合い、演出として十二分に機能していたと思います。

また、過去作は、舞台が近未来やパラレルワールドであっても、ほとんど現実に近い設定であったので、たとえ説明・描写不足であっても、現実世界に生きている僕たち観客の想像力と「常識」が、描かれていることと、描かれていないことを補完する作用が上手く機能して、作品世界をより魅力的なものにしていました。

 

しかし、今作ではそれらのバランスが非常に悪くなってしまっているように感じます。

モノローグは減ったものの、単調な台詞回しは相変わらずなため、会話と会話の「間」の振れ幅が小さく、どこか一本調子で、緊張と緩和を有するべき旅の物語の展開を、平準化させてしまってるように感じました。
『秒速
5センチメートル』では淡々としたテンポの言葉は、むしろ演出上プラスになっていましたが、本作ではそうはなっていません。

 

また、現実に近い舞台では機能していた観客の想像力と常識による補完作用も、まったくの異世界アガルタでは、その効果を減じます。

アガルタの説明・描写が不足していることは、そこに生きるシンら登場人物の動機や心情の説得力を弱め、魅力をも削いでしまいます。
彼らの背景をきちんと踏み込んで描いていれば、シンらアガルタの人々の魅力は数倍に増したことでしょう。

全般的に登場人物たちの動機と行動の必然性が上手く描けていないので、彼らの人間としての魅力と説得力が弱まり、文字通りフィクション上の薄っぺらいキャラクターになってしまっている感があります。

過去作では、主体性の弱さ、積極性のなさ故に魅力を放ち、物語を紡いだキャラクターたちでしたが、今作のように異世界の深淵にまで命を賭して行くのに、動機や目的、主体性に説得力が弱ければ、作り物の話がより作り物っぽくなってしまい、よくある失敗作のように、「どこかの誰かさんのどうでもいい物語」を見せられている状況に近づいてしまいます。

 

次に、美術ですが、これはまさに新海作品というべき美麗なものであるものの、過去作ではさりげなく描写されていたものが、今作ではどや顔然として主張してしまっている点も残念でした。

おそらくこれは、個人制作から出発した新海さんが、徐々に力量のあるすばらしいスタッフが集ったことで、「今まで描きたくても描けなかったこと」が、本作では「描けるようになった」が故に、そうしたものを必要以上に詰め込んでしまった結果ではないか・・・と思うのです。

そのため、肝心の物語の根幹たる部分が(過去作と同程度に)描写不足なのに、枝葉たる装飾品が(過去作を大きく凌駕するほど)非常に多いというアンバランスさを生じさせています。

何度も言うように、過去作は現実に近い舞台であるため、現実世界に生きる人ならほぼ誰しもの心象風景にある、学校、路地、雑踏にビルなどの町並みや、山河に木々などの自然、乗り物や小物などを、現実から切り取ったのかごとく緻密に描くことで、物語における説得力の強度を増すことに成功していました。

 

しかし本作では、未知の異世界アガルタの根っこや幹が描かれていないので、枝葉をいくら書き込んで詰め込んでも、良くできた綺麗な作り物に感心する以上の効果を生んでいません。

また、詰め込みすぎたことで、場面転換もどこか急ぎ足で、観客を余韻に浸らせるような間も、過去作に比べ圧倒的に少ないです。

過去作では控えめだった音楽も、今作では、「はい、ここ、感動のシーンです」と、向こうから主張してしまってるかのように感じる場面がいくつかあり、個人的に少々気になりました。

 

尚、ジブリ(宮崎駿)へのオマージュ(パクリではない)は、客層の間口を若干広めたこと以上に、新海さんの優れた持ち味を、曖昧なものに薄めてしまったように思います。

ただ、本作は、このジブリっぽいという見た目のインパクトがあまりにも強烈(僕自身も初見では、スクリーンを見ながら、目の前の物語よりも宮崎駿作品の「巧さ」を再認識して感心してしまった次第)なので、その点が議論となることも多いようですが、ジブリ云々をまったく抜きにしても、作品として傑作と言い難い評価であることは、個人的に変わらないと思います。

さらに言えば、新海さんの作風が変わったので、過去作のファンが否定的になっているのではないか?・・・というのもおそらく間違っているでしょう。

新海さんは、変わっていないのです。


キャラクターや舞台に関して説明・描写不足であることや、比較的淡々とした台詞回し、積極性や主体性に乏しい主人公、有名作品などからのオマージュなど、新海さんは大きく変わっていません。

ただ、過去作では作劇の中で上手く機能したそれらが、今作では物語に対して齟齬を来たし、さらに大ぶりな枝葉が、幹を覆い隠してしまって作品のバランスを崩し、ちぐはぐなものになってしまったのだと思います。
描こうとしたものがとても魅力的であったが故に、非常に残念です。

 

・・・と、またも長々となってしまいましたが、大好きな、そして貴重なオリジナル作品を制作する監督ということで、生意気にも書かせて頂きました。
書きたくなるほどに気になって、何かを作り出してくれるという期待があるんですよね、新海さんには。
だから・・・うん、やっぱり、なんだかんだ言いつつも、それでも、それでも僕は、新海さんの作品を、きっと明日も明後日もその先も、やっぱりどうしようもなく待ち望むんだと思います。

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『星を追う子ども』を見てきたので、レビューというか、感想を。

昨日、5月7日、個人的に大好きな新海誠さんの最新映画である『星を追う子ども』を見てきました。

公開前から誰もが感じていたであろう、あまりにもジブリでジブリな雰囲気にとまどっておられた方も多く、新海さんの作風が変わってしまったのでは?
・・・という声もあったようですが、内容は今までの作品同様、「喪失」をテーマにしたもので、新海節はそのまま。その点は心配しないでいいと思います・・・が、大好きな新海さんの作品であるからこそ、個人的に言いたいことも色々と。
なので、今回はその感想を書きたいと思います。

ちなみにおもいっきり内容に触れておりますので、ネタバレがいやだという方は、以下の感想は、見ないことをおすすめします。

さて、公開初日と言うことで、映画館はほぼ満席。
いやがうえにも期待は高まり、緊張と期待の入り交じった気分のまま、物語が始まるのを待ちました。

暗いスクリーンが徐々に明るくなり、主人公の女の子、渡瀬明日菜(以下アスナ)が山の中のレールに耳をつけている場面が映し出され、物語はスタートします。

開始から約十分くらいは、このアスナが山の中を駆けたり、家に帰ったり、学校に行ったりする場面が描かれ、観客は、彼女が住んでいる町のだいたいの規模などとともに、彼女が山に秘密基地らしきものやお気に入りの場所を持っていたり、父親をすでに亡くしていたり、仕事が忙しい母親とはあまり一緒にいられなかったり、勉強や家事もしっかりできるけど、学校ではあまり友だち付き合いが出来ていないことと、そんな彼女の心の拠り所の一つが鉱石ラジオであることなどが分かると思います。
説明台詞やモノローグなどではなく、画面で主人公の背景を理解させるのは、結構よくできてるなぁと思いました。

この坦々と描かれるアスナの日常が、一匹の獣と少年の出現によって大きく変化しだします。

いつものように秘密基地に向かう途中の鉄橋で、アスナは大きな獣と遭遇するのです。学校の先生から熊が出ると言って注意されていたものの、それはアスナにとっても、そして観客にとっても、突如として現れたこの世ならざるもの感いっぱいのもの。
恐怖に立ちすくむアスナですが、そこにまた突如として少年が登場。アスナを物語の騎士のように守り、傷を負いながらも獣を倒したあと、高い高い鉄橋から飛び降りる離れ業をやってのけるいきなりの展開に、少々唖然。

その後、目を覚ましたアスナは、獣から右腕に傷を負わされたシュンと名乗る少年に、自らのスカーフで手当てをし、言葉を交わすのですが、地下世界「アガルタ」から来たというシュンは「僕は君に会うため生まれてきたのかも知れない」と言うカヲルくんばりの台詞を吐いたり、「祝福をあげる」という言葉とともにいきなりアスナのおでこにキスをしたりという展開に、初々しくいいシーンだなと感じる一方で、またも少々唖然としてしまいました。

アスナと別れたあと、星に手を伸ばしたシュンは、観客に示唆されていたように、死んでしまいます。
そのことを知らないアスナは、シュンと再会しようと秘密基地やお気に入りの場所に向かったり、彼の姿を探すのですが、願いはかなわず、寂しい気持ちを抱えていきます。そして、その後、彼女は自分のスカーフを腕に巻いた少年の死体が見つかったことを、連絡を受けた母親から聞かされ、大きなショックを受けます。

寂しく悲しい気持ちを抱えたままのアスナでしたが、産休となる担任の先生の代わりに来た森崎竜司(以下モリサキ)が、イザナミとイザナギの話を授業で述べた際、同じような地下世界・・・黄泉の国、そして死者の復活の伝承が世界中で語り継がれでいるとして、多くの例の一つに「アガルタ」を挙げます。

シュンへの想いを断ち切れないアスナは、勢い、放課後にモリサキの自宅を訪ね、そこで彼が研究している「アガルタ」のことや、彼の望み、そしてアスナにも生き返らせたい人でもいるのかい?と問われ、とまどいます。
モリサキからいくつかの興味深い事実を教えられたものの、アガルタへも、そしてシュンへ到達する術も持たない普通のこどもであるアスナ。しかし彼女は、帰宅後に、自分のお気に入りの場所に「鉱石」の光が瞬いているのを目撃するのです。

シュンだ!・・・そう思ったアスナは山を駆け、お気に入りの場所へ向かうのですが、そこにいたのはシュンにそっくりの少年、シンでした。
シンをシュンだと思うアスナの勘違いもあり、かみ合わない二人の会話は、いきなり現れた攻撃ヘリと三人組の特殊部隊(アスナには分からないが、観客にはそのリーダーがモリサキだと想像にたやすい)によって中断を余儀なくされ、追い詰められたシンは、シュンが鉄橋からアスナを抱えて飛び降りたように、アスナを抱えて、崖下へと飛び降り、地下世界、アガルタへと向かいます。

シュンが記憶喪失にでもなっているのかと疑ったりして彼を追うアスナと、地下世界への扉を探し、シンたちを泳がせながら追うモリサキたち。アガルタへの通路になる洞穴で、鉄橋で遭遇したような大きな獣と再びまみえ、それが古の神々が地上の汚れた大気に触れ、変化してしまったものとシンから教えられるアスナ。
シンとアスナは獣相手に窮地に陥るも、追いついたモリサキたちが獣を容赦なく始末することで一難去りますが、また一難。

アガルタへの鍵となる石(クラヴィス)をよこせよ!だめだ!とやり合いながらも、アスナを人質にしたモリサキが、彼女とともに扉の中へ。ここでモリサキがアガルタを調査する秘密組織の一員としての任務を事実上放棄して、特殊部隊の二人を置いてけぼりにしながら、扉が閉じようとするのですが、呆気にとられる特殊部隊員と違い、隙をうかがっていたシンは、その間隙を縫って扉の内へと滑り込みます。

閉じた扉の内側で再び対峙するシンとモリサキ。人質となったままのアスナ。

しかしここでモリサキは、あっさりとアスナを解放。
自らもマスクを脱いで、モリサキであることをアスナにも示します。

死んだ妻を蘇らせるという個人的な目的があるモリサキにとって、その大きな難関の一つであったアガルタへの侵入を、組織を出し抜いて行うことに成功した以上、シンとむやみに敵対することは無いと判断したのでした。

対してシンも、アガルタは入るのは難しいが出るのは簡単・・・なので勝手に出ろとばかりに、モリサキとシンを放って帰って行きます。

こうして残ったモリサキは自分の目的のために、そしてアスナもモリサキとともに、アガルタの深部へと、茫漠たる光景の広がる異世界での旅が始まるのですが・・・。

と、めっちゃ長くなりましたけど、ここまでが大体前半となります。

改めてこうして文字で書きますと、日常の中に突如として現れた異物によって、アスナは、非日常の世界へと誘われ、大きく物語が動いて、すごい展開になっているように見えるのですが、劇場で見ている時には、物語が動いている、始まった、始まっている!という感を受けることは、個人的にあまりありませんでした。

それは、唐突感、もっと具体的に言うと、登場人物も含めた物語や世界の「説得力」を、僕があまり感じることが出来なかったからだと思います。
特に後半の旅全体も含めて、主人公であるアスナの行動に対する原理が、説得力に弱いのです。

茫漠たる異世界・・・「命」を狙うような人外のものたちもいるような未知の世界で、一人母親を残してまで、アスナが旅立つことに対する説得力が弱いと感じるのです。

これを個人的により強めていると思われるのが、「ジブリっぽさ」です。

全体的な絵柄はもちろん、序盤から現れるミミという、まるでナウシカのキツネリス「テト」のような生き物とその設定。

飛行石さながらのクラヴィス。

マンガ版ナウシカやもののけ姫や、ラピュタなど、それらをあまりにも彷彿とさせすぎる情景や生き物たち。

先生の顔をしながら、秘密組織の一員で、「中佐」などと呼ばれたり、メガネかけていたりとか、やはり「ムスカ」的なモリサキ等々・・・。

正直、言えばきりがないほどで、どうしてもジブリ作品・・・宮崎作品がちらちらと頭をかすめるのです。

で、鑑賞中も自然とそうした宮崎作品が頭に浮かぶものですから、没入感が薄れ、同時にそれらと知らず知らず対比しちゃったんですね、僕は。

前半の登場人物たちの行動原理やその説得力なんか、クラヴィスが飛行石チックだし、少年と少女の邂逅と、未知なる世界への旅ということもあって、自然とラピュタなんかと対比しがちで、どうしても疎く見えちゃうんです・・・これはもう、ほんともう、ラピュタがあまりにもうまいから仕方ないんですけど、やっぱりもったいない。

空から落ちてきた謎の少女シータを受け止めた、炭鉱で働く少年パズー。自分の父親がラピュタを見たと言ったものの、嘘つき呼ばわりされ死んだという背景を持つ彼が、それぞれの思惑で飛行石を狙うドーラ一家に軍、そしてムスカらからシータを守ろうとしながら、敵であったはずのドーラ一家と手を組む流れ、そしてそこからラピュタを目指す彼の行動原理と説得力に対して、先に述べたように、母親を残してまで、危険な未知の世界の深淵へ進もうとするアスナのそれは、あまりにも脆弱に感じてしまうんです。

ですから、アスナは何をしたいのかがよく見えてこなかったり、共感しにくいことになってしまってて、自ずから、登場人物たちの魅力も減じてしまうことになっているように思います。

また、世界観の説得力も、見た目が非常に似てるナウシカ(マンガ版含む)やラピュタとかの宮崎作品に比べると、やっぱりかなり弱く感じられました。

このアガルタの現実という説得力を持つ描写がないので、真剣さがあまり伝わってこないのです。

『星を追うこども』でも宮崎作品や、ある意味ではそれらを上回っているとも言える美麗な背景美術とともに、地上世界、並びにアガルタという世界やそこに生きる人々、そしてその生活の一部なども描かれているのですが、どうしても表層的で、特にアガルタという滅び行く世界のリアルさというか距離感が伝わりにくいのです。

たとえばナウシカでは、滅び行く世界とそこに生きる人々の問題がしっかりと描かれているため、「この世界はこれこれこうなってて、こうすれば死ぬ、こうなれば死ぬ」ということが観客に提示されている分、その世界はファンタジーでありフィクションでありながら、また、超常の力が存在しながらも、現実により近い説得力を持ち、その滅びや死と向かいあっている世界に生きる人々の生活感や、命の重みや、必死さも増して感じられます。

対して『星を追うこども』では、背景美術や絵としてのアガルタ(および地上世界)は美しく緻密に描かれているものの、世界のルールとその限界・果て・・・滅びへと向かう世界での死への距離感とでもいうべきものがつかみにくく、どこまでいったら、どこまでしたら、この世界の人は死ぬのか、ルールを破ればどこまで本気で殺し殺されるのかというものや、ラピュタで言えば飛行石の力のような、フィクションによくある奇跡的・超常的な力などの設定が曖昧なまま、旅が続いているように思うのです。

広大で地平線まで見えるような世界を、たいした装備も持たない少女が徒歩で旅することは、過酷極まり無いことなはずなのに、この世界のルールと限界(=死)が説得力を持って提示されないので、服が汚れたりする場面を見せられても、あまり大変に、切実に思われません。

イゾクというアスナたち地上の者を忌み、殺そうとするものたちも、アスナたち地上のものを追うシンを含めたアガルタに生きる人々も、彼らのアスナを殺そうとする意志とその背景にあるルールが、しっかりと徹底して描かれず、また、窮地を、曖昧なままの超常的な力の発動や感知で解決したりするので、死への距離感がつかみづらく、せっかくの見せ場となるべき場面が、その説得力と切迫感を失ってしまっているのように思いました。

結果として、映画版ナウシカやラピュタに比べて流血描写などは多いのに、イゾクに狙われ何度も殺されそうになっているのに、そうした理由で、旅をして目的の地へたどり着いても、やっぱり達成感が弱く感じられてしまう面があるように思いました。この点は非常にもったいないと思います。

宮崎作品と比べるな、という意見も当然のようにあると思いますし、新海さんの大ファンである僕自身も、予告トレーラーなどの公開後に多く見られた、宮崎作品っぽい点をして、ただジブリっぽいとの意見で作品を断じることは、嫌です。

ですが、ここまで「っぽい」と、やっぱり、意識的にせよ、無意識的にせよ、ジブリのことが浮かんで来ちゃったり、比べてしまうのも事実です。声優に島本須美さんが配されていたりと、新海さんとしては意図してジブリっぽいと言われるような要素を詰め込みながら、自分の作風で消化して、違った答えを提示したのだと思いますが、それが上手くいってるかは正直あまり肯定的に言えません。

ただ、ジブリっぽいという「とっかかり」で、新海さんを知らなかった層が、新海さんの作品とその世界に触れるきっかけとなれば、それは良いことだと思います。

さて、なんだかんだ否定的なことが多くなりましたが、ここからは個人的に良かった点とかも交えて。

ラストにモリサキが妻であるリサを蘇らせようとする場面には、やはり気持ちを揺さぶられました。
喪失を受け入られない大人、モリサキがリサを蘇らせることの等価交換として、アスナの肉体を供する場面。
歪んでいると感じられる点もあるかと思いますが、作中の人物の中で、もっとも願いと行動原理がはっきりとしているモリサキだからこそ、彼の決断が呼び起こした事態には切迫感もそれなりに感じられ、旅の果てを緊迫感を持って見ることが出来ました。

モリサキの願いを聞く神のデザインも、マンガ版ナウシカのドルク皇弟とかを思い起こさせましたが、不気味で秀逸。

「死んでしまった人よりも、生きている人の方が大事」という、シンの力強い言葉、誰にでも訪れる喪失というテーマ。それを受け入れられない大人、モリサキ。

妊婦の先生やアスナの両親の過去の情景。ケツァトルに運ばれる際、飲み込まれ、ケツァトルのお腹が妊婦のようになること、アスナの「もう生まれなきゃ」という台詞等々、生へのイメージも良かったです(だからアスナの母がどういう人かという背景について、もう少し描いてほしかったという点も)。

画面も相変わらず美麗で緻密。

前作『秒速5センチメートル』では、現実世界を舞台にしていたことと、動的な物語ではなかったこともあって、世界を切り取ったかのような描き込みまくった美しい一枚絵というのが印象に残った人も多いと思いますが、『星を追うこども』は前作に比べてアニメとして動きまくっていることと、ファンタジーな異世界の場面が多いので、そうした背景の一枚絵ではなく、動きの中で、世界を見せようとしていると思いました。
好みの問題もあるかもしれませんが、いずれにせよどちらも美麗です。
空や光の描写に加えて、今作では水や涙にナウシカの漿液のような液体の描写にも力が入っていました。

主題歌も好きです。
ただ、毎回すばらしい音楽を提供してくれる天門さんですが、今回のはちょっと大仰かも?と感じたりもしました。ですがこれは、淡々とした前作が好きだった僕の好みの問題でしょう。

そして、父を亡くしたアスナに会いに来たというシュン、アスナを守るためにシュンが怪我した右腕、生死の門までアスナたちを導いた右腕の無いケツァトルと、物語の根幹に関わる部分について、あれこれと考えるのもいいと思います。父を亡くしたアスナと、こどもを持たないモリサキの関係とか、星を追うこどもという意味も・・・。

と、ここまで長文となり、色々とあれこれ感想を連ねましたが、これだけ書いたのは、やっぱり、そうせずにはいられない魅力を、一ファンである僕が、強く感じているからでしょう。

なんだかんだ言いつつも、それでも、それでも僕は、新海さんの作品を、きっと明日も明後日もその先も、やっぱりどうしようもなく待ち望むんだと思います。

 

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破を見てきました。

もう日付が変わって昨日のことになってしまいましたが、6月27日、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を『序』の時と同じく新宿ミラノで2回見てきました。

あーもう、前置きとか色々書きたいことはありますが、ほんと、ほんとーにすごいものを見た、期待以上!って感じで大満足です。いや、マジでおそろしいものを見ました。なんかもう想像以上で・・・序もすごかったけど、それを吹き飛ばすほどのインパクトでした。

『破』を見ようか見まいかどーしよーかなー・・・って迷われているみなさん!

ネタバレなことを知る前に劇場で見た方がいいですヨ!
エヴァが少しでも好きならまず損はしないと思います!

それでもなぁと思っている・・・と思うあなた!
映画の日1000円デーとかその他諸々の(個々の映画館特有の)割引サービスとか利用して見に行けばいいと思いますよー。

上に書いている通り、昨日、僕は2回見たのですが、それでも楽しめました・・・というか二度三度と見たくなる出来です。そういう意味ではあちこちのサイトとか回ってネタバレ情報仕入れてみてもいいじゃん!ってことも言えるかもですが、どうなるのか知らない状態で見れるのは、ほんと初めの1回だけ! それはもう貴重な体験ですから是非是非なるべく前情報無しでご覧下さいませ。

内容の細かいこととか感想とか書こうとも思いましたが、めっちゃ長くなりそうなので今日は寝ます・・・

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クイーンズブレイドリベリオン 叛乱の騎士姫アンネロッテ フィギュア レビュー

メガハウスのエクセレントモデルCORE クイーンズブレイドシリーズのフィギュアである叛乱の騎士姫アンネロッテが先日届きました。

今日はその感想などを。

数ヶ月前にデコマス(試作品)を見た際に一目惚れして予約したのですが、デコマスはデコマス。よくできているの当たり前。発売日の直前にあみあみなどで実際の商品の画像が追加されたのを見たときは、デコマスより全体的にのっぺりとした印象で、ちょっと不安に思っていました。
で、届いた商品ですが・・・

00

■思ったより(・∀・)イイ!!感じで一安心!

デコマスを見て感じた「白銀」のイメージはややおとなしくなった印象で、肌も白っぽい第一印象に比して多少イエローが強い感じですが、全体的によくまとまっていると思います。

ひるがえる髪、はためくマント(スカート)、そして左足のつま先だけで立っている姿は、ふわりと地に降り立ったようで、上品な感じです。さすが騎士姫様(;´Д`)ハァハァ

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01

■鎧・剣・盾等の造形はよく出来ていると思います。

鎧等の色はもう少しグレイの弱い感じをイメージしていたのですが、服のブルーの色合いデコマスの印象よりも強めなので、コントラスト的にはこれでいいのかもしれませんね。

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02

■騎士姫のお顔。ちょっと光を当てすぎたかも。

クイーンズブレイドシリーズのフィギュアにしてはかなりおとなしめで上品な感じです。

唇の色合いも薄め。

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03

■で、キャストオフ

鎧とスカートが外れるようになっています。

画像はとりあえずスカートだけを脱がしてみたとこです。ピンクですよ。

このシルエットは好きで、飾るのもいいかなーと思ったのすが、個人的にピンクだとちょっと合わない感じ・・・。

ちなみにキャストオフする際は鎧から脱がせた方がいいと思います・・・たぶん。

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04

■スカートだけ脱がせたこのシルエットはやっぱり好き。

でもこのシルエット、流浪の戦士レイナと似てる・・・。

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08

■今度は上半身の鎧のみを・・・変な感じw

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05

■鎧とスカート両方を脱がして

変態さんですね。

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07

■全部脱がして眺めてみる

キャストオフもおっぱいも大好きなんですが、個人的にはアンネロッテは脱がさないで飾る方が(・∀・)イイ!!と思いました。鎧がかっこいいし、その方が気品が感じられますし。

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06

■おっぱい

乳首が大きめで色が比較的濃いめに塗られているのに対して、乳輪は色がかなり薄いです。ここらへんは好みが分かれるところでしょうか?

個人的にはおっぱい全体がもう一回り大きかったらうれしかったです。

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とまあこんなとこですが、総じていいフィギュアだと思いました。100点満点では無いけれど、個人的には十分満足出来る感じです。

難点としては、つま先立ちな上にポーズの問題で重心がかなり後ろにあること。

フィギュア本体に少し触れただけでグラグラ揺れますし、長いこと飾ってたら後ろに傾いてきそうで不安です。とりあえず台座を少し改造してみようと思います。

あと、脱がした鎧とスカートをはめ直すのが結構大変です!

最初に脱がしたときははめ直すのに何十分もかかって悪戦苦闘しましたが、スカートを体に巻く(まだはめない)→鎧を体に巻く(まだはめない)→スカートをはめる(二つある穴の上側のからはめる感じで)→鎧をはめる(下側の穴をはめ、上側の穴をはめる・・・けれど難しい場合は、上だけはめて妥協する。下の部分は開きっぱなしになっていてもスカート側の鎧に隠れてほとんど目立たないので・・・)と、こんな感じで比較的容易にはめ直すことが出来るようになりました。

ただ、個体差があると思いますので、有効な手段かどうかはわかりませんが・・・。

最後におまけ。

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おしりもいい感じに出来てますよ(;´Д`)ハァハァ

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アニメ版『海がきこえる』を見た

今年お亡くなりになった氷室冴子さんによる原作をアニメ化した、スタジオジブリ初のテレビスペシャル作品である『海がきこえる』を、先日初めて見ることが出来ました。

タイトルと、長い黒髪を持つ美少女と、吉祥寺駅ぐるり回転シーンだけは知っていました。ですが、まったく見る機会が無くて、「なんで金曜ロードショーとかで他のジブリ作品みたく放送しないんだろ?」と思っていたら、上記のように、テレビスペシャル作品として制作されてたのですね。尺は72分。これでは2時間枠に収めるには足りなすぎます。なるほど、金曜ロードショーでは放送されないはずです。

さて、そんなアニメ版『海がきこえる』ですが、僕は視聴する前に漠然と幾つかのイメージを抱いていました。

僕は、他人から聞いた話、パッケージや装丁の絵から抱く印象、あらすじから想起される展開、配役から想像されるキャラクター像、CMから受けるインパクト等々、イメージ=先入観を強く抱くことが多く、そしてそれはいい意味でも悪い意味でも、ほとんどの場合外れます。

アニメ版『海がきこえる』を見る前に僕が抱いていたイメージは、主人公である拓が、彼よりも精神的に何倍も大人である里伽子に振り回される・・・というようなものでした。特に中高生の時期というのは、男子よりも女子の方が精神年齢が高いことが多いですから。

ところが、実際に見てみると、里伽子がすんごく子供っぽくてびっくり。でも、そこが魅力なんですよね。

随分と達観して見える『耳をすませば』の中学生・天沢聖司と違って、『海がきこえる』の高校生・拓たちは、優等生だけど、まだずっと等身大で。
社会生活における処世術を大人たちのように会得していない拓たちは、感情を直線的にぶつけることもあれば、曲がりくねってひねくれた対応をしてしまう・・・そうして生まれた親友間、そして想いを寄せる者との間でのディスコミュニケーションな出来事を、少しだけ大人になった拓たちが、その出来事の中心になっていた里伽子のいない状況で思い返す。ありきたりと言っちゃえばそうなのですが、そのありきたりな題材を上手く描けている作品だと思いました。コントラストが低めの淡い作画とも、実に見事にハマって見えました。

ともかく、僕は好きです。
また、いつか地上波で放映されないかしら・・・。
未成年で飲酒してますシーンとかあるから、今のご時世ではやっぱ無理かな・・・?

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『99%の誘拐』感想:傑作二時間サスペンスドラマ

また本の感想です。

今日紹介する本は、僕が活字を読むようになって間もない頃に手にした、岡嶋二人さんの『99%の誘拐』です。

『99%の誘拐』あらすじ

「末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作!」

まず

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆☆(8/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆(8/10☆)

です。

吉川英治文学新人賞を受賞した本作の刊行は1988年10月。つまりちょうど20年前になります。
その後、1990年8月に本作は徳間文庫に収録され、2004年には新たに講談社文庫から刊行されて、2005年に「この文庫がすごい!」の1位を獲得しました。
僕が手にしたのは、この講談社文庫版になります。手にした理由は、帯に「この文庫がすごい!の1位を受賞!」と書かれていたからです。とりあえず、今現在評価されている本を読んでみようとしたわけですね。

物語は、昭和51年1月15日に、癌によって47際の若さで亡くなることになった大手カメラメーカー「リカード」の半導体機器開発事業部長・生駒洋一郎が病床で息子宛に綴った手記によって幕を開けます。

かつて洋一郎は、小規模ではありますが大変に先進的な技術力を有する「イコマ電子工業」という半導体製造メーカーを経営していました。しかし、そのイコマを黎明期から支え、技術と経営の後ろ盾になっていた外資企業が不祥事を起こしてしまい、イコマも窮地に立たされます。その際に手をさしのべてきたのが、大手カメラメーカーのリカードでした。リカードは市場が拡大していた半導体事業に乗り出そうとして、イコマの技術力を欲していたのです。
しかしながら洋一郎は、大企業であるリカード側からの合併の提案が事実上の吸収に他ならないとして、独立の道を模索します。彼は私財の全てをなげうって5000万円を用意し、再起を図ろうとしたのですが、その矢先に、彼の息子であり、幼稚園児であった生駒慎吾が誘拐されてしまうのです。身代金は5000万円。洋一郎は、愛する慎吾を取り戻すため、事業の再起の為の資金である5000万円を失います。結果、慎吾は無事に解放され、イコマはリカードに吸収合併、そして事件は未解決のまま、闇の中に消えていったのでした。

その洋一郎が病床で綴った手記の最後にはこう書かれていました。

「慎吾、強い人間になって下さい。私は弱い人間だった。最後までやり遂げることができない人間だった。慎吾、お前は違う。やり遂げて下さい。弱い人間は私だけでいい。慎吾、お父さんを許して下さい」

それから12年。
リカードの優秀な社員となっていた生駒慎吾は、かつて父に辛酸を嘗めさせた誘拐事件をなぞるように、リカードに対する完全犯罪を企てるのです。

と、設定からして燃えるものがあります。

リカードの社長の孫を誘拐しながら、1人のリカード社員として、その身代金受け渡しの担当者になる慎吾。自作自演の状況で、リカードと警察当局に協力して信頼を得ながら、強固なる意志と、用意周到かつ臨機応変な思考で彼らを騙し続ける慎吾の姿は圧巻であり、本作の魅力の1つです。優れたエンターテインメント性を有した二時間サスペンスドラマの傑作を見ているような気分に誘ってくれます。

また、本作の大きな魅力は、ハイテク機器を存分に用いた犯行であるということです。
「ハイテク」なんて言葉は、一時期に比べると、もうあまり聞かなくなりましたが、ともかくこの作品では、パソコン、パソコン通信、BBS、チャット、OCR・・・等々、ハイテク要素が満載です。これらは、2008年の現在に生きる我々から見ると、古臭さを感じることも否めません。そしてそれが本作の評価を落としてしまいそうな面もありますが、それ以上にこうした要素を用いた作者の先見性に驚くことの方が大きいかと思われます。


尚、「岡嶋二人」とは、徳山諄一さんと井上泉さんによる共著のペンネームなのですが、本作は、事実上井上泉=井上夢人さんの手によるものだと認識しておられる方もいるようです。
本作の刊行後間もなくして「岡嶋二人」は解散することになるのですが、興味がありましたら、解散前、解散後の作品を読み比べてみるのも面白いかと思います。


岡嶋二人『99%の誘拐』

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆☆(8/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆(8/10☆)

99%の誘拐 (講談社文庫) Book 99%の誘拐 (講談社文庫)

著者:岡嶋 二人
販売元:講談社
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『容疑者Xの献身』感想:純愛?

こんばんは。
久しぶりに本の感想でも。

というわけで、今回は文庫化&映画化を記念して、東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』の感想です。

『容疑者Xの献身』あらすじ

「天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うために完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長編、直木賞受賞作。」

まず

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10/10☆満点!)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆(8/10☆)

です。
今回の感想は(も?)かなり長いです。

本作は現代において一二を争うベストセラー作家である東野圭吾さんの直木賞受賞作であり、2005年度の「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」で各1位、さらには「第6回本格ミステリ大賞」にも輝いたという、箔が付きに付いた作品です。
また、先に上梓されていた湯川学准教授(助教授)を中心にした「ガリレオシリーズ」初の長編でもあります。この「ガリレオシリーズ」は昨年末(2007年10~12月)フジの月9でドラマ化され、好調な視聴率を残しました。
故に、活字を愛してる方々の間ではもちろん、そうでない方々の間でも本作の知名度は抜群に高いことが予想され、ドラマをきっかけにして活字の世界に興味を持ち、本作が「初東野圭吾作品」になったという方もたくさんおられるのではないかと思います。

さて、そんな本作の満足度ですが、当初それは僕の中で非常な「ぶれ」を持っていました。
というのも、僕は、この作品の中で「石神がやったこと」を上手く消化できなかったのです。

東野圭吾さんは本作を「私の考えうる最大の純愛、最高のトリック」と称し、また多くの読者の方が「感動した」「涙した」との感想を書き綴られているわけですが、僕にはどうしても「石神がやったこと」が「純愛」とは思えなかったのです。

もちろん僕がこうした感想を抱いたのは、僕自身が、「恋愛」「純愛」なるものをよく理解していないということも大きいかと思います。僕は東野圭吾さんの『秘密』が大好きで、大いに心を揺さぶられたのですが、そう感じなかった読者の方々も大勢おられます。それは個々人の性別や年齢、恋愛・人生経験等々といったものが大きく関わってると考えられるからです。どちらの考えが正しい、と言えるものでは無いと思います。そしてそうした「受け止め方の違い」が、『秘密』の大きな魅力だと思っています。
『容疑者Xの献身』でも同様のことが言える面がありますが、少なくとも東野圭吾さんご自身が「最大の純愛」と仰られているのですから、「石神がやったこと」を「純愛」と受け止められなかった場合、本作への個人的な評価は必然的に下がるのも致し方ありません。

ともかく僕はそうして本作の大きなテーマである「石神の純愛と献身」を理解できなかったものですから、その読後感はすこぶる悪く、満足度も非常に低いものでした。
他にもいくつか気になることがを挙げれば、文章表現に「おやっ?」と感じることがあったこと(これは僕の文字を追うテンポの問題の方が大きいかと思います・・・)、石神が花岡靖子(と美里)に想いを寄せることになる出来事が、「最大の純愛」のきっかけとしては陳腐に感じられたこと(まあ、人が人を好きになるきっかけは他愛もないことがほとんどですが・・・)等があります。粗探しですが。
あとは、アレです。こういうたくさんの賞を冠した作品なので、僕は自分で評価のハードルを上げていたというのがあります。人気作家には付きものの問題ですね。

さてさて、そうして僕は何だかあまり満足も出来ずに読了となったのですが、時間が経ち、読了後間もない僕の頭を占めていた感情的な思考が、次第に論理的なそれへと変わっていくと、本作への評価はたちまち上昇していくことになりました。

本作にはいくつもの優れた点が存在しています。

まず、トリックが見事です。伏線も実にフェアです。そしてそのトリックの難度が絶妙なのです。

ミステリは時に誰にも思いもしないようなトリックをして、その作品の評価を高めようとすることがあります。ですが、あまりにも難解で突飛なトリックが、読者の興を醒ましてしまうことも少なくありません。
『容疑者Xの献身』のトリックを完全に暴けなかった僕が言うのもなんですが、本作のトリックの難度はすこぶる高いというわけではありません(もちろん安易なものでもありません)。おそらく湯川准教授のような慧眼を発揮して、トリックを解かれた読者の方も多いと思われます。本作におけるトリックは、ちょうど花岡母娘と事件との間の関連性を強く疑いながらも、捜査の手が空振りを繰り返すことになってしまった警察のように、多くの読者も、石神の仕掛けたトリックの片鱗を掴み、なんとなく解けそうだなぁ…と思いながら、それを完全に具体化出来ない、そういうような難度だと思います。
この「あとちょっと感」は、東野圭吾さんの平易な文体と相俟って、可読性を非常に高めています。

また、平易な文体で複雑な物語を描いてるのは相変わらず流石です。また、作品全体の中で思わぬことが伏線になっていたりしていて、無駄な描写が非常に少なくなっています。これも流石だと思いました。
その他には、それまでの「ガリレオシリーズ」と違って、「理系で科学」な知識よりも「観察力」や「思考の盲点」がトリックと推理の鍵になっている点。これは好みの分かれるところでしょうが、高度に専門的な知識を用いないことで、結果的に多くの読者を獲得したとも思います。

さらには、友人同士である湯川准教授と草薙刑事の距離感も優れた点のように思います。「ガリレオシリーズ」では、湯川と草薙が事件解決のために協力し合うのですが、本作では、湯川と石神がともに才能を認め合った「古い親友にして好敵手」であることから、湯川は草薙に全面的に協力しません。それ故に本作は、湯川対石神という単純な構図ではなく、湯川と石神の対決から逸れた位置にある草薙の視座を有しており、「石神が仕掛けたトリックは何なのか」と「湯川は何をしようとしているのか。そして何をして石神のトリックに気づいたのか」というミステリとしての広がりを持った物語の展開をしていきます。これも見事だと思いました。
そしてこのような展開をするに至った人物の相関関係…帝都大学同期生の石神・湯川・草薙の間の「友情」こそ、「純愛」と「献身」よりも、彼らの悲しい「友情」こそ、僕が本作の中で最も感銘を受け、心動かされた点でした。

最後に、オススメ度は満点です。
あらすじには「ガリレオシリーズ初の長編」と書かれていますが、平易な文体と無駄の少ない構成の為に非常に可読性は高く、中編感覚で読み終えることが出来ると思われます。
また、様々な賞を冠した作品ですので、それに挑戦する感じで読むのもいいと思います。感想と評価は分かれると思いますが。

最後の最後に。
来月ついに封切られる『劇場版:容疑者Xの献身』
楽しみにしているのですが、配役がちょっと不安です。特に石神の配役はどうかな・・・と。
いい意味で僕の予想を裏切ってくれることを期待します。

東野圭吾『容疑者Xの献身』

個人的オススメ度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10/10☆満点)
個人的満足度:☆☆☆☆☆☆☆☆(8/10☆)

容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7) Book 容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)

著者:東野 圭吾
販売元:文藝春秋
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ロジクールのMX1100マウスのステルス・サムボタンがおかしいので分解してみた

こんばんは。
だいぶ間が空いてますがまたちょくちょく更新していこうと思います。

今回はタイトルの通りです。

つい先日、ロジクールが新しいMXシリーズのマウスを出しました。

Mx1100_00_4

某家電量販店で買いました。
ところが「ステルスサムボタン」というのが全然使えません。マウスを握りつぶすくらいの勢いで押さないと反応しません。
仕様かと思ったら不具合らしいことを価格コムで知りました。
お店に持って行けば、確実に初期不良ということで交換してもらえると思います。
ですが、貧乏性なので、お店に行く交通費1000円あまりがもったいないと感じます。
それにネガティブ思考なので、交換してもらったマウスが同じ症状を起こすと思うと怖いです。
だからといって、店頭で正常に動作することを試させてもらう勇気を持ち合わせていません。
何より引きこもりなので、街に出るのがものすごく億劫です。

ロジクールで交換してもらうことも確実な手です。
けれど以前にチャタリングの問題でMX1000というマウスを交換してもらったときに、ものすごく時間がかかってしょんぼりしました。

今すぐこのマウス、MX1100を使いたいです。なのにロジクールの電話サポートは土日はお休みです。

だから、何を狂ったか、夜中に分解して直してみようと思いました。
PCとか理系全般の知識に疎いのに・・・その上、もう保証を受けることが出来なくなるのに・・・でも、何となく、ボタンを押し込めば反応するので、そこらへんをどーにかすればどーにかなるんじゃないかなー・・・と思ったわけです。

さあ、分解。

とりあえず底のソールにネジが隠れてるらしいので、ソールをピンセットで剥がしてみたら、確かにネジが。

Mx1100_01

ソールを剥がして現れたダビデの星みたいなネジ穴にびっくりしたけど、1.6mmのマイナスドライバで意外とすんなりネジを抜くことに成功。
けれどなかなか底面とカバーが外れてくれません。力いっぱいやってもだめ。
もしやと思って電池を入れる場所のシールを上から指でなぞったら、穴がある感触が。

Mx1100_02

シールは端から剥がすと綺麗に取れた。
だけど何かシールの裏にサインペンのようなあとがついてた。
分解したかどうかを判断するためなのかな?
よく分からないけど、とりあえずここまできたらもう保証は受けられないからどうでもいい。

Mx1100_03_2

分解したら↑みたいな感じに。
当然だけど上蓋と繋がってるわけで・・・乱暴に扱ってケーブル引き抜くとこだった・・・。

Mx1100_04

肝心のステルスサムボタン部分を分解。
赤丸の4カ所のネジをはずす。
この部分のネジは+ドライバの00サイズので綺麗に回せた。
青丸の箇所のネジも同じく00+ドライバで。

Mx1100_neji

外したネジ。
上が内部のネジ。+ドライバ00サイズので外れた。
下がマウスの底に隠れてたネジ。-ドライバの1.6mmので外れた。
どちらも小さいので、作業の間に何度か見失うことに・・・。

Mx1100_05_2

赤丸が内部機構のネジ穴箇所。
青丸がマウス底辺のネジ穴箇所。

Mx1100_omuron

ちなみにマウスの左クリック・右クリックのスイッチにオムロンの文字。
チャタリングを起こさないで下さい。お願いします。

Mx1100_06

マウスの上蓋からステルスサムボタン部分を外したところ。

Mx1100_08_2

ステルスサムボタンのスイッチを穴から観察。
なんか半分隠れてるけど、これが仕様なのかな?


Mx1100_07

デジカメのフォーカスが・・・大失敗。
とりあえず5枚目の画像の青丸箇所のネジを外して、ステルスサムボタンの基盤を外してみる。
それで分かったのは、デフォルトで進む・戻るの機能が割り当てられているスイッチ(多分・・・解像度変更のスイッチだったかな?うろ覚えです・・・)とステルスサムボタンのスイッチが一緒だったこと。

そこで分解したままマウスに通電して、スイッチを指でクリクリしていたら、正常に反応することが判明。
やはりスイッチの問題では無い模様・・・多分。

Mx1100_bou

そこでステルスサムボタンのスイッチを押すラバー下の棒の丈を伸ばすことに。

Mx1100_pate00

何で丈を延ばすか考えたところ、フィギュア修繕用に持っていた、エポキシパテ軽量タイプを使ってみた。
接着剤を使わないで済むし、固まるまで時間があるので微調整が出来る。
それに固まってからもカッターで削れるので便利。

Mx1100_pate01

何度かスイッチとの感覚を試しながら、少しずつ削って微調整。
ベストな感触が得られたら、逆の手順でネジをくるくる。

というわけで、親指で軽く押し込めばすぐに反応してくれるように!
案外簡単に直ってくれました。
クリック音が気持ちいいです。

とまあMX1100の分解修理を終えたわけですが、やっぱりあまり賢い方法ではありませんね。保証も受けれなくなりますし。

とりあえず同じ症状で悩んでおられる方は、購入した店舗で交換してもらうのが一番だと思います。
それから何年か使って、保証期間内に不具合が起きれば、今度はロジクールのサポートで新品と交換してもらいましょう。

分解はくれぐれも自己責任で!

ロジクール MX1100 コードレス レーザーマウス MX-1100 CE ロジクール MX1100 コードレス レーザーマウス MX-1100

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祝!『時をかける少女』地上波放映決定!

また、夏が来る。

昨年に引き続き、今年もまたフジテレビが『時をかける少女』を土曜プレミアムで放映するようです。 7月19日の夜9時からです。

自分は時かけ厨なので、個人的にはすんごく嬉しくて楽しみなのですが、昨年放映されたじゃん!って思ったのも事実。何でかなーっと思ってたら、BD版が7月25日に発売するのと関係があるようです(ちなみに自分はBD版予約済みです^^)。ようするに宣伝ですね。
でも、これでまた新たな『時かけ』ファンが生まれてくれれば、とても素敵なことだと思います。

昨年はED曲、奥華子さんの『ガーネット』がカットされるという最悪の事態が起きましたが、あのエンディングスのタッフロールを含めて初めて、『時をかける少女』なのだと自分は思ってますので、今回はカットしないで下さいお願いしますフジテレビさん。
あと、視聴率良かったらいいなぁ・・・夏の定番アニメになって欲しいです。

時をかける少女 (Blu-ray) DVD 時をかける少女 (Blu-ray)

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著者:筒井 康隆
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著者:アニメスタイル編集部
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『ルパン三世 カリオストロの城』を見た

何度見ても好きなも好き!
そして面白いものは面白い!

果たして人生何度目かになる『ルパン三世 カリオストロの城』の視聴を、今、終えました(^-^)

ステキな名シーンや名台詞、そして名BGMが沢山つまったエンターテインメント作品だと思います。
でもTVシリーズの、初期の(?)緑上着なルパンシリーズが好きな方の中には、『カリ城』はあんまし好きでない、合わないという意見も多いようですね。

確かに『ルパン』というよりも『宮崎駿作品』って色の方が強い気がしますから、そういった感想も頷けます。

さて、その金曜ロードショー『ルパン三世 カリオストロの城』の2chでの実況ですが、以下のような状況でした↓

Kariosutoro00



22時30分以降にレス数が飛び抜けてる場所がありますが、そこはルパンがカリオストロ伯爵に対して「ロリコン伯爵」と言って、とっつぁんの三文芝居が始 まるところと、カリオストロ伯爵が時計の針によって潰されるシーン、そして何より最も突き抜けてるのは、例の「貴女の心です」と言うところでした(^- ^)


ちなみに同時刻で最もレス数が多かったのが↓のテレ朝でした。
途中でレス数が飛びつけてる時間帯がありますが、一体何が報道されていたのでしょう?
気になります・・・

Kariosutoro01



ちなみに自分は『カリオストロの城』の好きなシーンは?と問われると、ちょっと困ります。
ほんと、いいシーンが多くて・・・

最後のとっつぁんの「貴女の心です」と言うシーンはもちろん、どこもかしこも楽しくさせてくれる演出がいっぱいで・・・

そんな本作も、来年で劇場公開から30年周年を迎えるのですよね。
もちろんそう言う面で「古い」と感じる方もいるでしょうが、未見の若い人にも個人的に是非見て欲しい作品です。

それにしてもほんと、好きなものは何度見ても飽きずに面白く感じますね。
今日も十分楽しませて頂きました。

ありがとうございました。

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祝!『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 特装版』販売再開

各所で売り切れが相次いでいた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序  特装版』の予約販売が、amazonで再開されました。

手に入れ損なった方。
手に入れたけど、保存用にもう一枚欲しい方。
あるいは、特典フィルムを集めてる方などは、この機会にもう一枚どうでしょ?

エヴァ厨な自分も、もう一枚買っちゃいそうです。
だって、あまりにも特典フィルムの場面が(´・ω・`)だったんだもん・・・。

ともかくせっかくの機会なので、手に入れ損なった方はチャンスです!いい機会です!
ヤフオクで特典フィルム無しのを買うより、ずっとお得ですよ!

にしてもヤフオクではほんと高値で取引されてますなぁ・・・

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 特装版 DVD ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 特装版

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ヱヴァ新劇場版:序 特装版の特典フィルム

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』のDVD特典フィルムに3万円以上のプレミア !と、mixiニュースで知りました。

で、そのエヴァ新劇場版:序の特典フィルム、今(4月29日、23時00分時点)ヤフオクを見てみたら、3万円どころか11万円超えてましたよ。
場面は予想どおり、シンジくんから「笑えばいいと思うよ」と言われて微笑むすっごいかわいい綾波の場面でした。
ちょっと前に見たら5万円だったのになぁ・・・いいなぁいいなぁ・・・自分もお金があれば欲しいなぁ(^-^;)

ともかく未だエヴァ人気は高し!

そんなわけで自分も買った特装版。
そもそも特典フィルムが付いてることも知らなかったので、何かな何かな~と思いつつも、悪い予感しかしないのでした・・・。

というのも、同じく限定版にフィルムが付いてることを知らなかった『時をかける少女』の特典フィルムの場面が、ラストで千昭と真琴がキスするよう に顔を寄せ合うシーンのアップという超大当たりだったので、そう何度もこういう運のいいことはないだろうなぁ・・・と思ってたのです。
事実、その後買った『秒速5センチメートル』のフィルムは人物が映ってるものの、かなりの外れ風味でした。

で、その嫌な予感しかしない『エヴァ』のフィルムを、先ほど開けて見てみたのですが・・・

見た瞬間、外れも外れ、大外れ!・・・と分かるようなフィルムだったのです、だったのですけど、一体何処のシーンなのかがよく分からない・・・劇場で10回も見たのに・・・家でも何回もDVD見てるのに・・・(´・ω・`)

なんかまったく色が付いてない場面のようで、真ん中から右下方向に向けて文字のようなものが描かれてる感じ。

どの場面かなーと思いつつ、虫眼鏡を使って文字を読もうとしたら、すぐに合点!

サキエルにN2地雷を使用した後、爆風に飛ばされたミサトさんの車が、灰の中で転がってるシーンでした!
道理で色が付いてないと感じたはずだわ・・・。
自分が文字と思ったのは、ミサトさんの車が灰の中を転がった跡でしたー・・・

でもこのシーン・・・小さいけど、小さいけどさ!しっかりとシンジくんとミサトさんが映ってるんだよ!

だからある意味当たりなんだよ!

当たり・・・なんだよ・・・(´;ω;`)ブワッ

寝よう・・・

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『仮面山荘殺人事件』感想:純粋であったが故の楽しみ。純粋であったが故の罪。そして純粋なる愛。(ネタバレっぽいヒントあり)

今回は東野圭吾さんの初期作『仮面山荘殺人事件』です。

まず

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9/10☆)

です。かなり高めの、甘めの点数になっています。

本作の上梓は1990年。東野圭吾さんの作品群にあっては初期作にあたるかと思います。
内容は題名の通り、館(山荘、屋敷)もののクローズド・サークル・ミステリです。

本作の主人公である樫間高之は、若くして映像制作会社を経営している実業家であり、しかもその会社は、近年「成功」した部類に入る業績をあげていました。その「成功」した要因の1つが、大企業・森崎製薬とのコネクションでした。

高之は2年前にある自動車事故に巻き込まれ被害者の立場になるのですが、その際の加害者側の人物が、森崎製薬社長・森崎伸彦とその妻・厚子の娘、森崎朋美(当時21歳)だったのです。
朋美はその事故の結果、左足首から先を失い、念願が叶いつつあったバレリーナとしての夢を失ってしまいます。自棄になった彼女は病室で自殺未遂に及ぶのですが、たまたま高之が見舞いに来ていたため、一命をとりとめることになるのです。
この件で高之は森崎社長夫妻から大きな信頼を得ただけでなく、朋美とも親しくなっていくきっかけを掴みます。
高之は見舞いを通じて、夢を失った朋美を励まし、小さな体で懸命にリハビリを頑張る彼女を美しいと感じるようになります。程なくして二人は純粋に愛し合うようになり婚約するに至るのですが、結婚式の4日前、朋美が運転していた車が崖下に転落し、彼女は亡くなってしまうのです。

警察は目撃者の証言や現場の状況から「事故」と断定しました・・・。

それから三ヶ月後、高之は森崎社長から例年行われているという「別荘での避暑」を一緒に過ごさないかとの誘いを受けます。朋美が亡くなったとはいえ、森崎夫妻は高之を本当の娘婿のように扱ってくれていたのでした。また、高之としてもバックに付いてくれている森崎製薬社長の誘いを断る理由はありませんでした。

こうして高之に森崎一家、森崎家の親類の篠一家、そして森崎社長の秘書に主治医など、計8名の男女が森崎家所有の別荘に集まり、朋美の追悼も兼ねた懇親会を催していたのですが、そこに突如逃亡中の銀行強盗犯たちが押し入ってきたのです。8人は軟禁状態に置かれて、山荘はクローズド・サークルと化してしまいます。

脱出や外部への連絡の試みはことごとく失敗に終わり、恐怖と緊張が極限に押し迫る中、8人にとって更なる悲劇が起こります。軟禁されていた8人の内の1人が他殺体となって発見されるのです。しかも現場の状況は、強盗犯らの犯行とは到底考えられないものでした・・・。

この中に殺人犯がいる・・・そう確信した7人の男女は次第に疑心暗鬼を募らせ、パニックへと陥っていくのですが・・・


文庫本にして300ページ弱、文体も東野圭吾さんらしく非常に読みやすいものになっているため、本格ものが好きな方でしたら一夜にして読み終えてしまう作品かと思います。
その点も含めて、長編である『秘密』や『白夜行』などを読んで東野ファンになったという方に、「こんなお話も書いてるんだよー」と個人的にオススメしたい作品でもあります。
そして「大どんでん返し」が好きな方にも、是非!という内容となっています。

ところで個人的満足度が9☆な件ですが、自分が本作を手に取ったのはちょうど3年近く前・・・まだあまり活字に慣れていなかった頃であったため、ほとんど先入観を持たずに純粋に楽しむことが出来たためです。
私はすっかり騙され、「なるほどー」と思ってしまいました。
今読むと・・・もしかするとトリックに気が付いてしまう可能性がありますので、そうなるともう少し満足度が下がるかもしれません。

ちなみに本作を読んでいて、なんか変な雰囲気といいますか、「違和感」を感じられた方は鋭いと思います。
その「違和感」は、この作品に仕掛けられたトリックの大きなヒントになってますので・・・。

あと、森崎朋美さんと篠雪絵さんについてどのような印象を抱くかでも、本作の感想は変わってくるかと思います。


東野圭吾『仮面山荘殺人事件』

個人的オススメ度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9/10☆)
個人的満足度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9/10☆)

ちなみに私は「雪絵さん、そりゃダメだよ・・・」という感想を持ちました・・・。

仮面山荘殺人事件 (講談社文庫) Book 仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
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祝?『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序 特装版』発売→売り切れ、そしてファンサブ

今amazonのDVDコーナーを覗いたら、注文可能になった日から発売日まで『空の境界』に数日抜かれただけで一貫してDVD売り上げランク1位だった『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序 特装版』が在庫切れになってました。なんだかんで売り上げ好調大成功!ということでしょうか。
でも売り切れるともう手に入りにくくなるので残念ですねー。

あ、ちなみに自分は発売日にamazonから届きました・・・けど、まだ段ボール箱から出していません見ていません。

今日見ます、多分・・・ラミエルかっこいいよラミエル(;´Д`)ハァハァ

それから上映時の感想はこちらこちらこちらとかで。

ところで海外のサイトを覗いてみると早くもファンサブによる海賊行為?が。
ファンサブの影響力はすごいですねー。
北米市場ではアニメ・マンガ(ゲーム)関連のイベント(東京国際アニメフェアやコミケみたいなの)の入場者や開催数はかなり増加してるの(実際統計でも北米でのアニメファン人口は増えている)にもかかわらずですけど、DVDの売り上げは2003年からだったかな?減少に転じたままだそうです。

この大きな要因がファンサブによるよるものは自明ですが・・・あまり罪悪感もないし、そもそもWinnyに乗せて流す日本人が悪いのだ、と言う外国のANIMEファン(と言っていいのか、な?)が多いのも事実。

なかなか解決への道は険しいようですねー・・・。

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アメトークのエヴァ芸人特集

エヴァンゲリオン芸人特集、今見終えました-。

大好きなケンコバさんが出てない上に、ちょっと芸人の面子が破壊力不足かな・・・と思ってたけど、すごく面白く作られてて良かったです。
録画しとけばよかったなー。

ともあれ、あっちゃんガチヲタ過ぎだよあっちゃんw

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祝!『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』発送

自分がamazonで予約注文してた明日発売の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』のDVDがどうやら今日無事に発送されたようです。

明日になったら見れるかな・・・。

あとこれに合わせたかどうかは分かりませんが、今日の深夜、テレ朝で放映される『アメトーク』が「エヴァンゲリオン芸人特集」らしいです。

「ガンダム芸人特集」とか「ジョジョの奇妙な芸人特集」とかも面白かったので、今回も面白ければいいな・・・。

ともかくエヴァが好きな方は是非チェックを!

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『時計館の殺人』感想:悲しく歪んだ愛情

今日は綾辻行人さんの館シリーズ第5作目であり、第45回日本推理作家協会賞受賞作でもある『時計館の殺人』の感想です。

まず初めに

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆★(7.5/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9.5/10☆)

です。

綾辻行人さんの館シリーズでも特に長い(文庫本にして600ページ強)のが、この『時計館の殺人』です。

綾辻さんのデビュー作『十角館の殺人』の冒頭で「エラリイ」が述べる「ミステリにふさわしいのは、時代遅れと云われようが何だろうが、やっぱり ね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人たち、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック・・・・・・。絵空事で大いに結構。要はその世界の中で楽しめれ ばいいのさ。但し、あくまで知的に、ね」という台詞が、一連の館シリーズの中で一番よく当てはまってるのが本作だと思います。

本作は、十年前に一人の少女・古峨永遠が死んだ後、それに関連するかのように幾人もの人が死んでいったという「時計館」における一連の事件を扱った作品です。

少女の死より十年後、鎌倉の森の暗がりに建っているその「時計館」で、雑誌『CHAOS(ケイオス・・・たぶんムーみたいな雑誌)』主催による 「オカルト企画」を催すため、同誌の副編集長にカメラマン、そして『十角館の殺人』にも登場した(当時はK**大学の元ミステリ研の学部生だった)同誌の 新米編集者の江南孝明と、テレビ等にも出演している有名”霊能者”光明寺美琴に、W**大学超常現象研究会の面々が集まることになります。

「十角館」同様、建築家”中村青司”によって建てられた「時計館」は、非常に独特な・・・異様な雰囲気を放つ構造になってお り、「新館」には何故か館の入り口側から背を向け、時刻を示す針を持たない無い時計塔が、さらに、事実上窓さえ無い「旧館」には、ちょうど振り子時計を模したような間取りの館中に、108個もの時計がひしめいていたのです。
そしてこの「旧館」に、企画の参加者たちが三日 間外界から完全に隔離するように籠もって、降霊会を開き、亡霊と接触しようとするのですが・・・この「オカルト企画」の趣旨によってクローズド・サークル と化してしまった「時計館・旧館」において、連続殺人が起きてしまうのでした。

すぐそこに、固く閉ざされた扉を隔てた向こう側に・・・「時計館・新館」に、人がいるのに、「探偵役」がいるのに、連絡が取れない、脱出も出来ない。
そんな異常な状況がより恐怖感を増し、読者をより本作の世界へとのめり込ませているように思います。

殺人事件発生後、「時計館・旧館」に言わば「閉じ込められた」人々は、外部への脱出を試みるのですがそれがまず不可能と理解すると、「旧館」の捜索に乗り出します。
しかしそこで発見されるのは、ずたずたに切り裂かれた上に、どす黒い染みが大きく胸元を汚している純白のウェディングドレスなど、奇妙でおぞましいものばかり。

十年前に一体何があったのか?

そして、今起きてるこの状況は何なのか?

そして「時計館」のこの不思議な構造は何なのか?

この館の主・古峨倫典が遺した詩の意味・・・「沈黙の女神」とは何なのか?

本作で描かれている「大きなトリック」には気が付いてしまうかもしれませんが(私も残念ながら気が付いてしまいました)、館が持つ意味、動機や凶 器の必然性など、「大きなトリック」以外にも興味を惹くような謎が様々あり、それらは伏線として最後に綺麗にまとまっていたこともあって、個人的には大変 楽しませて頂きました。

ミステリ好きな方には是非オススメしたい作品でもありますが・・・ちょっと長い作品ですし、「大きなトリック」に気が付いた時点で興味を失ってしまう方もいそうなのが、少し残念ですね・・・。

ともあれ少女・永遠さんに安らかな眠りが与えられることを願って。



綾辻行人『時計館の殺人』

個人的オススメ度:☆☆☆☆☆☆☆★(7.5/10☆)
個人的満足度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9.5/10☆)

時計館の殺人 (講談社文庫) Book 時計館の殺人 (講談社文庫)

著者:綾辻 行人
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日本推理作家協会賞受賞作全集〈68〉時計館の殺人 (双葉文庫) Book 日本推理作家協会賞受賞作全集〈68〉時計館の殺人 (双葉文庫)

著者:綾辻 行人
販売元:双葉社
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『十角館の殺人』感想:その1行で世界は変わった

今日は、綾辻行人さんのデビュー作『十角館の殺人』の感想です。

まず

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9/10☆)

です。

故あって3年ほど前からベッドで過ごすことが多くなった私は、その頃から活字を読むようになりました。
それ以前はともかく活字というものをほとんど一切読んでこなかったため、一体どんなものを読めばいいのか迷ったのですが、友人から勧められ本作を手に取ったのでした。

友人曰く「ともかく読んでみろ」と。

何でも本作は、ミステリの世界において「新本格」「綾辻行人以降」という言葉を生み、一種のメルクマールとなった作品だと言うので、「じゃあ、すごいんだろうな」と思い、軽~い気持ちで読んでみるかと思ったのですが・・・。

活字慣れしていなかったこともあって、ともかく序盤は読みづらく、ミステリ研のメンバーが、高名なるミステリ作家たちの名を渾名にして呼び合うのも「なんだかな~」と思ったものです(私は漫研などで「○○先生」と呼び合うのもすっごく苦手です)。
しかし「ミステリにふさわしいのは、時代遅れと云われようが何だろうが、やっぱりね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人たち、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック・・・・・・。絵空事で大いに結構。要はその世界の中で楽しめればいいのさ。但し、あくまで知的に、ね」と言って社会派ミステリには辟易だという「エラリイ」の台詞には、「うんうん」と頷いていました。「そうだなぁ・・・僕もそっちの方が好きだ」という具合に。

そうして始まった物語は、大学のミステリ研の面々が、半年前に凄惨な四重殺人事件が起きた大分の沖合にある孤島の館を訪れ、そこでの出来事が描かれる「島の章」と、島に行かずに大分本土に残った元ミステリ研の面々などの模様が描かれる「本土の章」を、日ごと繰り返しながら進むものでした。
そしてセオリーどおりに島で起こる連続殺人と、以前に島で起きた四重殺人事件を調査したりする本土の章が描かれ、

「おー、一人死んだ」

「あ、また死んだ・・・」

「ああ、次はこいつが死んだかぁ」

などと『そして誰もいなくなった』のような展開に、特段驚くこともなく読み進めていったのですが、とにかくどこがどうすごいのか、浅学な私には全然分からない。
至って普通の・・・『金田一少年抜きの金田一少年の事件簿』みたいな印象を受ける始末。
また自分が活字離れしていたこともあって、「この作品がすごい!すごい!って言われるってことは、よほどそれまでのミステリはダメダメだったのかなぁ・・・」などと思い、

「あー早く終わって欲しい」

「で、結末はどうなのよ?」

と、正直もうじれったく、半分飽き飽きしながら読んでいったところに凄まじい勢いでのカウンターアタック。痛恨の一撃。

例の1行を読んだときの、目で追ったときの、確認したときの衝撃ったらなかったです。

「え?あれ?」

「あ、えーと・・・」

「あ!あ!うあ!そういうことかあああああああああ!」

と、頭の中だけではその衝撃を受け止めきれず、思わず声となって口から漏らし、いつの間にか今までのページをめくり直していました。

誰が犯人か?
トリックは?
動機は?

こうした謎には、読んでいくうちに大方予想がついた、という方はかなりいらっしゃるかとも思います。

ですが、この世界に仕掛けられていたもっと大きなトリックに気が付く人は、そうはいないのではないでしょうか?

なるほど、自分は最っ初から、綾辻さんの掌中で踊らされていたのだなぁ・・・と思い、「綾辻行人以降」という言葉が生まれたのも頷けるほどの衝撃でした。

たった1行で読者が抱いていた世界観をひっくり返すとは・・・
なるほど確かにこれはすごいなぁ・・・と思ったものです。

そうして生まれた「新本格」の流れから我孫子武丸さんなどがデビューし、その我孫子武丸さんが乙一さんの才能をいち早く見抜くなどして現在に至る流れを作ったと考えると、「うん、確かにこれはすごいわ」と何度も一人頷いていました。

今読むとちょっと古くさい感じもしますし、こうしたトリックが他の作品でも使われることが珍しくなくなってますので、自分が読んだときほどの衝撃度を得ることは出来ないかもしれませんが、ミステリ好きで大どんでん返しが好きで未読の方になら是非、オススメしなければ!という作品です。

綾辻行人『十角館の殺人』

個人的オススメ度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10/10☆)
個人的満足度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9/10☆)


十角館の殺人 新装改訂版 (講談社文庫 あ 52-14) Book 十角館の殺人 新装改訂版 (講談社文庫 あ 52-14)

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『ゴールデンスランバー』感想:「たいへんよくできました」な、三十路に贈る青春エンタメ(ネタバレあり)

今回は伊坂幸太郎さんの『ゴールデンスランバー』が第5回本屋大賞を受賞したとのことで、急遽予定を変えてその感想です。
ちなみに予定通りだと、アガサ・クリスティ女史の『そして誰もいなくなった』つながりで、綾辻行人さんの『十角館の殺人』をやるつもりでした。

ともかくまず最初に

個人的オススメ度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10/10☆)
個人的満足度は☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9.5/10☆)

です。
個人的満足度は、今後、本作を上回るような作品を書いて欲しいという気持ちも込めて9.5☆
限りなく満点に近い9.5☆ということで。
伊坂さんファンなので、ちょっと(かなり?)甘めかもです。
あと感想がまとまりを欠き長いです。

それから本作はなるべく前知識や先入観を持たずに読んで欲しいですので、そうして下さる方には即ブラウザバック推奨です(^-^)





さて、本作は「伊坂幸太郎的に娯楽小説に徹したらどうなるか」という発想から生まれた作品だそうで、実際、そのコンセプトを裏切らない500ページ強に及ぶエンターテインメント長編になっていました。相変わらず伏線の回収とまとめ方も素晴らしかったです。

本作の大まかなストーリーは、「セキュリティポッド」と呼ばれる最新の監視装置があちこちに配された仙台市街・・・その仙台市街でパレード中だった首相を爆殺したとの罪を着せられた三十路ちょい過ぎの男(ちなみに現在失職中)・・・青柳雅春の逃亡劇となっています。

首相暗殺と国家的陰謀(・・・そう!陰謀論!)の影。そして濡れ衣を着せられた無辜の一般市民とその逃亡劇・・・と、何やらハリウッド映画や日本 の他のあらゆる娯楽作品でも既にやり尽くされ手垢まみれの感のある設定でしたが、エンターテインメント性をしっかりと残したまま、冤罪に監視社会、そして マスコミによるメディアスクラム等の社会問題もしっかり取り入れてる点は、「流石だなー」と思わずにはいられませんでした。

さて、本作の妙はその構成にあります。

導入部となる第一部「事件の始まり」の後の第二部「事件の視聴者」では、事件発生からおおよそ3日間における事件の当事者以外(野次馬やマスコミ や目撃者や一般市民)の反応が描かれ、首相暗殺の黒幕(それが誰なのかは分からない)や、マスコミによって作り上げられた「首相暗殺犯・青柳雅春」の姿が 描き出されて、事件の視聴者とともに私たち読者もそこで「青柳雅春」なる人物のイメージを形成させられます。

しかし次の第三部「事件から20年後」では、ノンフィクションライターの調査書を用いる形で、事件の真相に関する様々な憶測が述べられた後、「た だひとつだけ確かなことがあるとすれば(中略)青柳雅春が、首相殺害の犯人であると信じてる者は、今や一人もいないだろう」と述べられ「逃げ続けていた二 日間、青柳雅春がいったい何を考えていたのか、誰にも分からない」と締めくくられているのです。

事件の喧噪に塗れた第二部と、事件を冷静に分析した第三部。
そこでは「青柳雅春」に関する評価が全く違ったものになっています。

そのギャップを埋めるのが、本作の核であり本編とも言える第四部「事件」です。

この第四部は、逃亡する主人公である「現在の青柳雅春」だけでなく、「学生時代の(昔の)青柳雅春」と、大学時代のサークル(それは本当にくだら ない、ファーストフード店でだべるだけの小さなサークル)仲間で、同時に青柳雅春の彼女でもありながら、その後彼と別れ、他の男性と結婚、大学卒業後勤め ていた会社を円満退社し、今や一児の母となっていた「現在の樋口晴子」と「学生時代の(昔の)樋口晴子」という主に4つの視点をもって重層的に描かれていま す。緊迫感溢れる逃亡劇を強いられている「現在」の鬼気迫る状況と、仲間たちと楽しく安穏とした日々を過ごしていた10年ほど前の「学生時代」の温かなエピソードが、こ の二人の視点を通すことでより強いコントラストを放ちながら、とても印象的なものとして描かれています。

また、本作を面白くしているのが、登場人物たちが三十路をちょっと越えたあたりということにもあると思います。

「何でも消えていくよね、ほんと」と第一部で樋口晴子が述べるとおり、三十路を過ぎた登場人物たちにとって、大学時代はまさに消え去ろうとしている過去。
学生時代の気分が抜けきらなかった20代前半と違い、20代後半から30代前半というのは、仕事ではより責任のある地位を与えられ、プライベート では結婚、そして子をもうけるなどして、人生の新たな目標を定めるような時期・・・そんな端境の時期にあって、疎遠となっていた学生時代の仲間たちが、こ の首相暗殺という大事件によって、過去の記憶を呼び起こしながら、動き出すのです。

家族を事実上の人質に取られ、陰謀に荷担させられていた大学時代のサークル仲間で親友でもあった森田森吾は、事実上8年ぶりの再会になる青柳雅春を 陰謀に陥れるために輸送中であった車内で、ビートルズの『ゴールデン・スランバー』を口ずさんだ後、「帰るべき故郷、って言われるとさ、思い浮かぶのはあの時の 俺たちなんだよ」と目を細めながら、学生時代を思い起こし、

「おまえ、オズワルドにされるぞ」

「おまえは逃げろ」

と、自らを犠牲にするように一人車内に残り、青柳雅春を逃がします。

また、同じくサークル仲間で1年後輩であった「カズ」こと小野一夫も、陰謀に荷担させられそうになりながらも、数年ぶりに再会した青柳雅春を逃がします。

そして何より昔の彼女であった樋口晴子も、です。

彼女は事件翌日の報道で、かつての彼氏、青柳雅春が「犯人」として取り上げられてるのを見て呆然とし、「別れてからもう大分年月も経つ・・・人は 変わることもあるかもしれない」などと思いつつも、報道される「首相暗殺犯・青柳雅春」の姿が、あまりにも自分の知ってる「青柳君」と違うことから、疑惑 と確信を抱き、娘の七美とともに行動を開始するのです。しかし彼女だけは「青柳雅春」と再会はしません。ここも本作の秀逸な点であり、また伏線になってい るかと思います。

その他にも学生時代のバイト先の轟社長、大学卒業後就職した運送会社の岩崎先輩や、同業者であった前園さんなど、「青柳雅春」の本来の姿を知る様 々な人々が彼の逃亡に力を貸し、さらには定年間近で閑職に追いやられていた警察官の児島安雄さんまでが、青柳雅春と接してるうちに彼をサポートするように なります。

また「青柳雅春」にとって敵役としてあてがわれている警察庁の佐々木一太郎課長補佐(ということはノンキャリ?)や、近藤守刑事などにも、所謂「黒幕」から様々な圧力がかかっていたのだろうなと思われ、憎々しい思いを抱くこともそれほどありませんでした。

青柳雅春は自分の現状に対し「誰かの、どこかの誰かの思惑でこんなことが起きている」・・・関係のない人や自分の知り合いに危害が加えられ、死んでいく、と憤ります。
それに対しある人物は「青柳さんが相手にしているのは、馬鹿でかい抽象的な敵だよ。たぶん、国家とか権力とか呼べちゃうようなさ」と述べ、それに対峙したときに一番利口な方法は「逃げること、かな」とアドバイスします。

青柳雅春もそのことは重々承知していた上で、逃げる前に一世一代の賭けに出るのですが・・・。

その先にどのような結末が待っているかは、エピローグとなっている第五部の「事件から三ヶ月後」で。
繰り返しになりますが、数々の伏線が美しくまとまっています。
私にとっては号泣はしないものの、登場人物たちのように知らず知らず泣いていたというシーンが何度もある青春エンターテインメント作品でした。
東野圭吾さんの最新作『流星の絆』の帯文の「息もつかせぬ展開、張り巡らせた伏線、驚きの真相、涙が止まらないラスト。すべての東野(伊坂)作品を超えた現代エンタメの最高峰」という言葉がより似合うのは、こっちのような気もしました^^
「彼らが仕掛けた復讐計画の最大の誤算は、妹の恋心だった」も、「彼らが仕掛けた暗殺計画の最大の誤算は、青柳雅春を繋ぐ絆だった」という感じに。

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なお、ビートルズの『ゴールデン・スランバー』がどのようにして作られるに至ったかを考えながら読むと、読了後の余韻もまた心地よいものになるかと思います。
それから相変わらず伊坂作品の主人公は清潔漢ですね(^-^)



伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』

個人的オススメ度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10/10☆)
個人的満足度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9.5/10☆)

ちなみに余談で、ほんとーにどうでもいいことですが、第三部を書いているノンフィクションライターは、第二部に登場している名無しの中学生かとも思いましたが・・・真相は闇の中、ですかね^^;

ゴールデンスランバー Book ゴールデンスランバー

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
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